天つ空に溺れて

東雲 彼方

遺された君へ

 碧落へきらくに堕ちて


 蒼昊そうてんを泳いで


 あまそらに溺れたわたくしは


 君の哀しむ顔を忘れ


 泳ぐ悦びに没頭したのであります


 碧虚へききょは果てしなく続き


 ちっぽけなわたくしを


 飲み込み


 包み込み


 愛を騙ってくれたのです


 言うなれば此れは美酒のやうで


 飲み呑まれ求め貪られ


 狂気の先に残るものはありません


 虚空に落ちてしまえたらと


 願ってしまったのが運の尽き


 君を哭かせてしまいました


 然れど後悔は御座いませぬ


 在るのは懺悔と悦びだけです


 快楽に身を委ね


 逃げたわたくしを


 赦せとは言わないけれど


 それで君が哭くのは


 見たくないのです


 我儘でごめんなさいね


 どうか後追いはせぬように


 天の彼方で逢いませう


 又何処かで


 さようなら

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