年下の彼
由友ひろ
第1話
「佐藤先生の講座とりたいんだけど、空いてる?」
見た目チャラそうな、茶髪学生が目の前に立っていた。後ろに、同類っぽい女子達を数人引き連れいる。事務の
「佐藤義隆先生の講座でよろしいですか?」
「そう、それそれ。」
「学生証をお願いいたします。」
「はいはーい。」
秋元耀、十九歳、住所は新宿区高田馬場…。住所は汐里の家のすぐ近くみたいだ。
「ねえ、ねえ。お姉さん、それなんて読むの?名前。鈴木…?」
「しおり…です。」
汐里はPCをいじりながら答える。
「しおりんか。」
汐里は、かすかに眉に皺を寄せつつも、手を止めることなく打ち込み作業を続ける。
「あのさ、今日飲み行かない?」
汐里は、自分に言われてると思わず、返事をすることなく手を動かす。
「ねえ、ねえ、しおりん。飲み行こうよ。」
汐里は、びっくりして顔をあげた。
「あなた、未成年でしょ?」
後ろにいた女の子達がわざとらしく笑う。
「やだ、マジメか?!」
「…。」
汐里は、バカにされた感じを受けながら、とりあえず無視する。
「登録終了いたしました。」
汐里は学生証を耀に返した。
「で、飲みは?」
「お断りします。未成年に飲酒をすすめたって、捕まりたくありませんから。」
「ざーんねん。じゃ、二十歳になったら約束ね。」
耀達は、騒がしく喋りながら学生課を後にした。
「汐里、なに学生にナンパされてんのよ。」
同じ学生課の
「そんなんじゃないわ。からかわれただけよ。」
「あの子、有名よね。いつも女の子に囲まれてて、遊び回ってるって。」
「そんな感じね。」
汐里は興味なさそうに、仕事をこなしがら答える。
「うーん、あたしなら行くけどな。目の保養になるじゃん。若い男の子!彼、かっこいいし。一晩だけの関係でもいいわ。」
「バカなこと話してないで仕事しなさいよ。」
「汐里は真面目なんだから。」
真面目というわけではなく、いたって経験が乏しいだけなのだが。
汐里は、そういう話しが苦手だった。
数分もすると、耀のことは汐里の頭の中から消えていた。
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