第4話ホームルーム
入学式は順調に進み、何事もなく終わった。
その後、新入生全員が八クラスに割り当てられ、そこでまたこの学園の詳しい説明があったり、クラスメイトや先生との顔合わせをする事になっている。
京也と楽斗は二人とも三組に割り当てられていた。
『鳴細学園』には様々な校舎があり、その全てがそれぞれ別の用途として使われている。京也達一年生はその中でも一番大きい本館に校舎があり、まずはそこに向かわなければならない。
ちなみに入学式が行われたその体育館と本館の間にはかなりの距離がある。そこを歩かなければ行かないと思った京也は気が遠くなったが、文句を言っても始まらないと諦める事にした。
「見事にグループが別れたな」
「ああ、確かに」
全ての生徒が揃った一年三組には早速、二つの派閥が出来ていた。普通なら会ったばかり同士で、しばらく静寂が続くものだがおそらくそうならなかったのは彼女の存在大きいだろう。
教室の左後ろにいる京也からたまに生徒の間から見える、 長髪は綺麗に揃えられており、顔も整っていて、絶世とまではいかないがかなり綺麗な少女。そう、
一つ目の派閥はその薺 凛を中心としたもの。彼らは主に学園生活を楽しもうという派閥だ。
そして、もう一つが、派閥の中心人物である薺 凛を良しとは思わない派閥だ。彼らは主にただ単にライバルとして見ている、向上心の高い連中だ。
ちなみに、京也達はクラスから孤立している第三の集団だ。第三の集団と言っても京也と楽斗しかいないが、彼らもクラスの枠から外れている一つの派閥である事には違いない。
「まじか、薺 凛と同じクラスかよ」
「何が不満なんだ?」
少し不満気に言った京也に楽斗がその理由を聞く。
「いや、だって学年代表な上に四大名家の跡取りだぞ? 関わったら面倒くさい事が起こるに決まってんだろ」
「はあ……」
すると、楽斗は今までに無いくらい深く、長いため息を吐いた。
入学式の時といい今といい、一体どれくらい呆れられなければならないのかと、京也は思ってしまう。
「何だよ」
「いや、お前ほんとあいかわらずだなとおもって」
ーガラガラガラー
「ホームルームを始めるぞ、全員席に着け」
そんな話をしているとスーツ姿でポニーテールの女性が教室に入ってきた。女性にしては高身長で、美人ではあるが、見た感じ厳格そう。
クールビューテイをイメージ通りに表した様な外見だ。
「私がこのクラスの担任である
(あっ、名前はなんかすごいかわいい)
クラスの全員がそう思った。
「それでは早速だが、自己紹介から行っていく。その時に絶対に名前は言っておく様に。それでは一番から順に行け」
「はい、一番の
ーパチパチパチパチパチー
薺の番の時に多少クラスが盛り上がり過ぎ、若宮に注意されたが、その後自己紹介は順調に進み、京也と楽斗も何事も無く終わらせた。そしてホームルームは、学園の説明へと進んだ。
「いいか、今からこの学園について説明する。一回しか言わないからよく聞いておけ。まずはこの学園の制度についてだ。この学園は一般的な学校と大きく違う所が主に二つある。
まず一つ目は
この決戦制度は校内順位を決めるにおいてとても大事な役目を担っており、学園長が言っていた、この学園のトップを目指すのに参加しなければならないものだ。
順位はポイント制で、高順位の者と戦えば戦うほど貰える得点が高くなり、逆に順位が低い者に負けると失うポイントは大きい。だから、決して弱い奴とだけ戦えばいいという訳では無い。
決戦制度はお互いの了解がないと出来ず、必ず教師の立会いの元、模擬戦ルームの中で行われる。
ちなみに
お前らの最初のポイントは入試の結果が直結している。ちなみにお前らの先輩らも同じような試験を始業式の時に受けているから学年に関係なく実力で順位が割り振られているぞ。
自分のポイントと順位は配られた『電子手帳』に載っているはずだ」
そう言われ、『電子手帳』を確認してみると確かに今の京也の順位が書かれていた。
「二つ目は年に二回行われるクラス対抗戦だ。これは七月と十月に行われ、全員参加でクラス全体の実力を競う行事の様な物だ。
もうそろそろ終わる時間だな。明日からのことについては『電子手帳』で確認出来るはずだから各々確認しておくように。では、今日は以上とする」
ホームルームは三十分と短かったので、学園の説明だけでその時間は終わった。若宮の話を聞く限り、割と面倒くさそうな学園ではあるが一応頑張ってはみようと京也は心の中で誓った。
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「なぁ、楽斗」
「なんだ? 京也」
「これからどうする?」
「あぁ、そうだな〜」
二人は今、学校の食堂で昼飯を食べながらこれからの事を考えていた。現在の時刻は十一時半、しかも『電子手帳』には"明日からは平常授業のため、時間割を貼っておく。なお、教材はこちらで用意する為、特に準備などはしなくても良い"としか書かれていない。
つまり、やることが全く無い彼らは今とてつもなく暇なのだ。
「そんじゃ、部活見学でも行くか? 相棒」
「俺も行くのか?」
「もちろん♪」
「はあ、わかったよ」
もはや楽斗が自分の事を相棒と呼ぶ事に突っ込みもしなくなった京也だが、楽斗はそんな事を気にせず同行を促す。
この学園で部活はとても大切な役割を果たしている。いや、部活というより研究会と言うべきなのかもしれない。殆どの部活は自分のタビアを磨いたりタビアの有効な活用の仕方などを学ぶためにある。
生徒は皆そこで授業や実践練習で分からなかった所を復習し、日々レベルアップしているのだ。
そのため、ここでは入学式初日から部活勧誘や仮入部などが行われている。
そもそも二人とも部活に入る予定も無いのに、部活を見学しに行くというのはおかしい、と思っている京也だったが。行かなければ、楽斗にもっと面倒くさい事をされそうなので渋々行くことにした
そんな時だった
「大変だ! 喧嘩が始まったぞ!」
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