青葉のお悩み相談チャット
日曜日のショッピングモールということもあって、人で賑わっている。それは今のあたしにとって好都合だ。
人混みに紛れればさすがの光莉でも簡単に気がつくことはできないから。
ただ、逆を言えばあたしもあっちを見失う可能性が高いから気をつけないと。
2人の後を付いていくとたどり着いたのはゲームセンターや雑貨屋がある区画だった。てっきり前と同じでアパレル区画とかを回るかと思ったけど、男女2人でそれはないのかな。いや、あたしが勘違いみたいなのを避けたいようなこと言ってたから避けてくれたのかもしれない。
そのまま奥に進んでいって一つの店の中に入っていった。店に入る直前で夏樹の足取りが一瞬止まってたけど、あたしも来たことないから知らないな。
2人が中にはいったのを見てからもう少し近づいて店の名前を確認すると夏樹が躊躇したのも頷ける場所だった。
「コスプレショップ……」
中はさほど広くないから、あたしが中にはいると直ぐにバレそうだ。あたしは向かい側にある雑貨屋で商品を眺めつつ二人が出てくるをの待つことにした。
雑貨屋の中で待ち始めること数分、あたしのスマホが震えた。電話だったら今は取らないで後でかけなおそうと思ったが、通知によれば夏樹からのチャットだった。
「何してんの……」
そうつぶやきながらアプリを開くとまさかの助けを求める文字だ。
『夏樹:やばい。女子というか大川さんとの会話ってどうやればいいかわからない。いつもどんな話してるんだ?』
夏樹らしい悩みだったけど、光莉のほうから話題を切り出したりはしてないのかな。
『青葉:まあ普通に世間話っていうか最近見たテレビとか、最近はゲームとか……光莉の部活の話聞いたりとかかな』
『夏樹:演劇部の話か。そうか、それがあったな。突然すまんな』
『青葉:いいよ。どうせ暇だったし』
これで大丈夫かな。いや、念には念を入れておこう。
『青葉:ところで、何してるの?』
『夏樹:あれ? 大川さんから聞いてないか?』
『青葉:特には聞いてないけど』
『夏樹:まあ、大川さんに誘われてな。ちょっと遊んだりしてるやつだ』
『青葉:そうなんだ。まあ、それなら楽しんできたら。光莉ならわりかしセクハラじゃなければなんでも話は乗ってくれると思うし』
『夏樹:わかった。ありがとな。また、なんか聞くかも』
『青葉:暇だったら返すよ』
ここでチャットは途切れた。まあ、これであたしは夏樹が今日出かけていることを今まで知らなかった扱いになる。
その後、10分位したところで2人が店から出てくる。
「演劇部の衣装はこういうところでも場合によっては調達するんだな」
「まあ、普段は服飾系のちゃんとしたお店で買うほうが多いけどね。完成品としてレベルが高かったりウィッグとかはこっちのほうがすごかったり参考担ったりすることも多いんだよ!」
「へー。知らなかったな」
一先ず会話が続かない事態は回避できてるみたい。
あたしは再び店から移動していく2人を追いかけ始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます