EP3 鷲宮夏樹はイベントで恋を考える
イベント開始
「とうとう今日だな」
昼休みに焼きそばパンを食っていると、金田がそんな事を言いだした。
「何がだ?」
「いや、イベントの開始だよ」
「そういえば今日だったか」
「いや、お前が忘れてるなんて珍しいな」
「忘れてたわけじゃないんだけど忘れてたな」
「どういうことだ」
自分で言っていてよくわからなくなってきたが、ど忘れしてたんだろうな。
朝は覚えててゲーム機スリープにして自動でアップデートしておいてくれるようにして家を出たはず。
「ちなみにどんなイベントなんだ?」
今回はあまり情報を集めてなかった。というより青葉とのあれこれを勝手に自分で考え込んで集中してなかった。
「梅雨ということでジューンブライドイベらしい」
「……全く想像つかないし。そもそもジューンブライドって梅雨だっけか?」
「俺はよく知らないが、まあNPCの結婚式を盛り上げるために準備をしたい。そのためのアイテムを集めてきてくれ! みたいなイベントらしいぞ」
「素材集め系か」
「ついでにポイントだな」
「アバター好きが今回は集まりそうだな。マップは?」
「通常マップ素材と特別マップ素材どっちもあるらしい」
「大川さんと青葉さそっておいてよかったな」
「ほんとにな」
素材集め系のイベントは一番簡単なのは人数でゴリ押すことだ。もともと協力推奨のゲームだからこそ批判もそんなにでないわけだ。
「しかし結婚かー」
「金田がそんなことを言い出すとは、明日は梅雨なのに晴天だな」
「いいことじゃねえか。いや、ゲーム内に結婚システムそういえばあるんだよなってふと思い出しただけだ」
「たしかにな。まあしたからってそんなメリットがあるかと言われたらさほどないらしいけど」
「そうなんだよな」
2人で使えるマイルームを使えるようになったり共同資産とかが作れるようになるくらいか。ただ、別にゲーム内通過のGに関しては共同にしなくてもトレード機能で受け渡しとかも可能だ。
「そういえば金田って彼女いたことあるんだっけか?」
「嫌味か」
「なんか中学の頃にそれっぽいこと言ってなかったっけか」
「ゲームの彼女だよバカヤロー!」
なんか本当に彼女がいるような雰囲気だった記憶があってごっちゃになってるな。
「つかそれいうなら男二人で話すのもあれだけど。夏樹は彼女欲しいとか思わねえの?」
「そりゃ欲しいと思うときはあるが、好きなやつがいるか聞かれたらそんなことはねえしな。無理やり好きになるものでもないだろ」
「まあそうだけどな」
「つかそれいうなら金田のが女子友達とか女子に絡んでること多いけど、新しいクラスになって好きなやつとかできなかったのか?」
「友達にはいいけど付き合いたいと思うやつはいなかったな。一時期大川のこと可愛いとは思ってたけど、友達の距離感で固まっちまった」
「まあ気持ちはわかる」
大川さんはあの青葉とも打ち解けたわけだしな。
俺も数少ない話せる女子友達になっているしすごいものだ。
「そろそろ昼終わるな」
「だなー。青葉と大川に声かけておいてくんね? 俺より席近いだろ」
「了解した。夜でいいよな。大川さん多分部活とかあるだろうし」
「おっけいおっけい」
そして昼休みが終わった。俺は別のクラスか学食かそれとも秘密の何処かで食べていた青葉と大川さんが戻ってきたところで夜にやろうという話もしておいた。
「了解」
「私も部活終わって帰ったら青葉ちゃんに連絡するね」
「頼んだ。そんで青葉は俺の方に連絡なりよろしく」
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