光莉の青葉イメージ
あたしは帰ってからお風呂とか夕飯とか課題とかとにかくやるべき事は全部終わらせてからゲームを起動した。
始める直前に光莉からもうすぐ始められると連絡がきていた。あたしはギルドの2階で待ち合わせということを伝えておいて今現在1人で待機している。相も変わらず人で賑わっていて、少し待ち合わせ場所を間違えたと感じなくもない。
「おまたせ」
「アオちゃん!」
「人多くて探すのに手間取った」
「うん。次からは別の場所にするね。まあ、ちょっと落ち着いた場所いこっか」
「じゃあ、あたしのマイルームは?」
「いいの?」
「大丈夫」
アオのマイルームに行くのは初めてだな。普段は落ち着いた話ししたい場合あたしの少しだけしかいじってないマイルームだった。
あたしたちはギルドをでてアオのルームにお邪魔する。
ルームに入ってまず最初に目に入ってきたのはチェーンだった。ベッドとかも置いてあって黒とか青とかでまとまっていて、一言で言うならロックな部屋になっている。
「どう?」
相変わらずゲームの中だと2人きりでもアオになりきってる。まああたしもヒカリになってるから文句も言えないし否定もしないけど。
「えっと、どうってどういうことかな?」
「あたしの中で青葉のロックさをイメージして作ってみた」
「あー……まあ、たしかに嫌いじゃないかな」
ただ、あたしのリアルの部屋にあるロック要素はギターとかCDくらいだ。その他でいうなら服装とかはそっち系のが多い。多分比率だけでいうなら可愛い系かゲームが場所を撮ってる気がする。
まあゲームについては物が大きいから仕方ないんだけどね。
「でしょ?」
「でもここまで露骨ではないかな」
「そこはゲームだからこそグッズとか家具を集められるからやってるってことで」
「おっけい! それで……どこで話せばいい?」
部屋全体を見渡した結果、初期で配置されてたテーブルとか椅子も全部撤去したらしい。そのうえで、ロック系のそれを置いてあることもない。
「ベッドかな。テーブルと椅子は今いい人探してるところ」
「え? もしかしてベッドとかこれも全部特注?」
「露店で売ってたやつばっかりだけど、そこで仲良くなった人に何人かクリエイター紹介してもらった」
「すごいね」
一緒にプレイしてたけど全然気が付かなかった。思った以上にゲームをエンジョイしてる。
「それで今日はどうする?」
「うーん。そうだね。今なにか揃えたい宛とかある?」
アオは色々欲しいものが多い時期でその上でレベル上げをしたいはず。少なくともレベル帯に合わせて両方ができる狩場を見つけることはできるはずだ。
「とりあえず魔法使いで続けてるけど……武器は新しいワイズを買ったんだけどローブとかを新しくしたい」
「作りたいものの宛はあるの?」
「そうだ。忘れてた。それで相談があるんだった」
アオはそう言うとメニューを開いてあたしに数枚の画像を見せてくる。多分ネットで拾ってきたスクショ系だと思うけど、魔法使いの画像だった。
「これのどれかが欲しいんだけど。ヒカリのイメージ的にどこまでなら作って大丈夫?」
「えっ?」
「いや、だって現実のイメージに合わせておいたほうがいいからラインは聞いておきたいし」
「……なんかごめんね。私全然それ考えてなかった」
「まああたしは現実だとわりと何でもやるから大丈夫。というより大体なんでも好きだから」
光莉の懐の広さってすごい。でも好奇心がありすぎてたしかに、光莉って何やってもイメージが崩れることは少ないかもしれない。
改めてスクショを眺める。1つはローブとは名ばかりの桃色の魔法少女みたいなものだ。あたしのマジックナイトみたいに金属部分もついてないせいで可愛さがより際立っている。頭には花のカチューシャだ。
あたしは正直好きだけど、現実のあたしのイメージとはかけ離れているだろう。
2つ目が黒赤を貴重としたパンツと少し厚めのシャツに羽織るマントの組み合わせだ。ファンタジーゲーム感満載だけど、これは問題ない。
最後の一枚は青系ではあるけどオフショルダーの上とミニスカ気味な下でこれまた魔法少女っぽさがある。ただ頭に三角帽をかぶっていたりすることでまだ許容範囲だと思う。ゲーム内だから冒険してみたっていうことでもごまかせなくはない。
入れ替わりなんてことをやって秘密を守ってもらっている手前で、ゲームプレイに制限を増やしたくはない。許容ギリギリなら許していこう。
「2枚目は大丈夫。3枚目もギリギリおっけい。でも1枚目はちょっと個人で楽しむ範囲にしてほしいかな。ただ、3枚目みたいなのがアオの銀髪で合うかはわからないけど」
「そこはあたしのコーディネートセンスのみせどころだから大丈夫。でも、それならひとまず性能的にも2枚目のセットが作りたい」
「となると魔法使い向けの防具だから。皮素材がこのゲームだと多めに必要かな。あとは布だけど、布は正直買っちゃったほうが速いからね」
「じゃあ皮集め?」
「だね。色によってモンスターが変わるけど」
「黒赤がいい」
「じゃあ西のさらに奥にある場所にいるモンスターならレベル的にもちょうどいいと思うからそれを今日は狩ろっか」
「了解」
あたし達は準備を済ませて、一先ず西にある街のゴルドンまで転移クリスタルを使って転移した。
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