第50話
ドナとの初めてのウィークエンド。
当然ドナとふたりきりのデートを望む佑麻だったが、朝、浮き輪を持ったソフィアに起こされた。どうやら今日はソフィアとプールへ行かなければならないらしい。
久しぶりのプールに興奮したソフィアが、あちこちで吹聴するものだから、家を出る時には6人ほどの近所の子供たちが門の前に集まっていて『Kasama ko!!(一緒につれてってーっ!)』と大合唱する。
仕方なく自転車トライシクルに分乗して近くのプールへ。
そこは、家の中に設けられた小さなハウスプールだったが、暑い日に子供たちが遊ぶには充分な水の量だ。入り口で怖そうなおばさんにひとり30ペソを支払うと、準備体操もせずにプールへ飛び込む。
ソフィア以外の子供たちは、水着なんか着用していない。Tシャツとショートパンツだ。それでもプールから追い出されない。プールの水は、日本のプールのように薬臭くないが、それだけに水の中はバイ菌でいっぱいで目を開けると炎症をおこすのではないかと不安になる。実際のところ翌日の朝になっても目には何の炎症も起きなかったのだが…。
そんな不安にはお構いなしで、こども達はプールで大はしゃぎだ。こども達との遊びに言語の違いなんて何の障害にもならない。水に投げ込もうとソフィアを追いかけまわすと、自然に『まいった、まいった』なんて日本語を覚えてしまった。
やがて、ドナとミミがランチとお菓子を持ってプールサイドへやってきた。
ランチボックスは、昨夜の晩御飯の残りで賄ったものだ。ドナの来訪を喜んだ佑麻が、ふざけて叫びながら嫌がるドナを抱きかかえ、プールへ投げ込む。
文句を言いながらプールから這い上がるドナの服が水にぬれて、Tシャツの上に下着とボディーのラインがくっきりと浮かんだ。佑麻はあわてて他の人に見られまいと大きなタオルでドナの体を覆う。そんなことするなら、最初からやらなきゃいいのにと、ドナが笑った。
しこたま水遊びしたのち、夕焼けの下町をこども達と手をつないで家路についた。その日が終わるころには、佑麻はこども達から『Kuya Yuma(クヤ・ユウマ)』と呼ばれるようになっていた。
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