167 お布施
ギルドからの帰り道、ガンツさんの店へと寄ってみると、ブーツに関してはすでに完成していた。
革鎧などの防具に関しても、最終調整の段階らしく、あと数日もあれば完成するようで、恐らく次の仕事には新しい防具で臨めそうである。
取りあえず「ブーツを履いてみろ」と言うガンツさんに促され、渡されたブーツを履く俺たち。
「わっ!? これ、凄いフィットする! これまでのとは全然違うよ!?」
「これは……期待以上ね」
手早く新しいブーツに履き替えたユキが、ステップを踏みつつ驚いたような声を上げる。
ハルカもまた、屈伸したり、足首を回したりして頷いている。
これまで俺たちが履いていたブーツは、トレッキングブーツのような足首を少しカバーするタイプのブーツだったのだが、今回のブーツは膝下までをカバーする編み上げブーツ。
にもかかわらず、足首やつま先の可動部に束縛感が無く、激しい動きをしても影響が無い。
正に俺のためだけに作られた一点物で、足を綺麗に包み込むような形になっている。
難点を挙げるとするならば、編み上げブーツなだけに履くのがかなり面倒な所だろうが、万が一にも脱げたら困るため、これは仕方の無いところだろう。
「コイツは足の木型から作ってるからな。まぁ、成長するとすぐ履けなくなっちまうんだが、おめぇらぐらいなら、大丈夫だろうさ」
こちらに来て種族は変わってしまったが、確かに年齢的には、そうそう足のサイズが変化することもない、のか?
元の身体では成長期は終わっていた感じだが、エルフだと……いや、多分同じぐらいだよな。これ以上成長しても逆に困るし。
まぁ、今回の靴にしても1年足らずで買い換えているわけだし、足が変化するよりも先に靴の方がダメになる可能性が高いか。特に俺たちの場合、とにかく長距離、しかも不整地を歩くわけだから。
「紐もダールズ・ベアーの革を加工して作ってある。そうそう切れることはねぇと思うが、予備を1セットずつ付けておくぞ」
「ありがとうございます」
「問題があれば言ってこい。足回りの不調は命に関わるからな」
「わかりました」
ガンツさんに再度礼を言い、俺たちは店を後にする。
ちなみに、今回のブーツはダールズ・ベアーの革持ち込みで、1足当たり金貨25枚。
結構良いお値段だと思ったのだが、ナツキ曰く、「元の世界でも、高い革靴ならもっとする」と言うことなので、人件費の安さや素材持ち込みと言うことを考慮すれば、妥当なお値段となるのかも知れない。
ただ、あえて言うなら、元の世界であれば恐らく一生物となる革靴に対し、こちらの革靴は消耗品という点が違うのだが……命を守る物と考えれば、短期間しか使えなくても、こちらの方が価値があると考えることもできるか。
◇ ◇ ◇
自宅に戻り、久しぶりに風呂を満喫した俺たちは、貯蔵してあった食糧を食べながら、リビングでまったりと話し合いをしていた。
このリビング、当初こそソファーと椅子が置いてある、洋館的なリビングになる予定だったのだが、そこは日本人ばかりのこの家。比較的短期間で、その方針は転換された。
ソファーと椅子が置いてある事自体は変わっていないものの、部屋は完全に土足厳禁。部屋の中央には絨毯が敷かれ、自由にゴロゴロできるようになっている。
部屋の隅には保存庫もあり、飲み物やお菓子、軽食などが入っていて、部屋から出ること無く飲み食いも可能。
なかなかの快適空間になっていて、俺たち全員、暇なときには大抵ここに集まっている。
特にナツキとトーヤは、自前の魔法で空調を行うことができないし、俺たちにしても1人で魔法を使い続けるのは面倒なので、集まって過ごすのが色々と効率が良いことも影響しているのだが。
最近は少し暑くなってきたので、ハルカたちがゴザを試作中。
それが完成したら絨毯の代わりに敷く予定である。
一応、空調用の魔道具も売っているのだが、購入する場合は受注生産でかなりの期間が必要になるし、自分たちで作るのも少し面倒。現状、あまり困ってないから別に良いか、と放置状態である。
「取りあえず、今回の休みは3日ほどを予定しているけど、それで良い?」
「それは、ダールズ・ベアーの防具の関係ですか?」
「そう。それで完成してなければ、休みを延ばすか、受け取りを延ばすか……」
「ふむ、良いんじゃね? でもさ、次は何をするんだ? やっぱ、あの先に進むのか?」
トーヤが言う『あの先』とは、ダンジョン(推定)のスケルトン・キングがいたエリア、そこに現れた坂道のことである。
「もしくは、森の中を探索するかだけど……」
「稼ぎだけを考えれば、多分森の方が良いよな?」
アンデッドはほぼ品切れっぽいが、廃鉱内で出てきた魔物から得られる稼ぎと、廃鉱周辺で出てくる魔物から得られる稼ぎ。魔石だけを比較しても10倍以上の差があるのだ。
もちろん手強さは全然違うのだが、俺たちの今の腕から考えれば、廃鉱内の魔物はあまりにもヌルすぎる部分があるので、あれをメインターゲットにするのは少し気になる。
多分、経験値的にも期待できないだろうし。
これまでの検証によれば、普通に戦った場合に得られる経験値は、魔石の買い取り価格にほぼ比例しているような印象なので、この予測はおそらく間違いない。
ここで重要なのは、『比例関係にあっても、経験値は一定では無い』と言う事。
解りづらい?
例えば、レベル10の時は、『魔石が100レアの敵からは100の経験値』、『1,000レアの敵からは1,000の経験値』が得られたとして、レベル20になったときには、『魔石が100レアの敵からは10の経験値』、『1,000レアの敵からは100の経験値』になるという感じ。
つまり、魔石価格から得られる経験値は予測可能だが、弱すぎる敵の場合は経験が得られなくなるのだ。
多分、今の俺たちが魔法でサクサクとゴブリンを斃しても……『魔法を練習した』程度の経験値なんじゃないだろうか。
「けどよぉ、森は暑いからなぁ……」
俺の意見に不満を口にしたのはトーヤ。
今回帰還した時間帯は昼前で、最も暑い時間帯からは外れていたはずだが、それでも戦闘を行うと、汗が流れるぐらいの気温になっている今日この頃。
今後しばらくは気温が上昇傾向にある事を考えれば、トーヤが森を避けたいと思うのは理解できるし、俺も同感である。
「そこは少し悩んでいるのよね……。けどダンジョンに潜るのも……もっとダンジョンや魔物について知っておくべきじゃ、という気もするのよ」
「確かにダンジョンに関する本、それに以前から話に出ている魔物に関する本は欲しいですね」
「本の多さなら、ケルグだろうけど……今行くのは得策じゃないし、その向こうの町も難しいよね」
ケルグの先にある町はピニングと言う名前で、ネーナス子爵領の領都にあたる。
当然、このあたりでは最も大きな町で、恐らく購入できる本の種類も豊富と思われるのだが、ケルグを避けてその町を目指すべきかどうかは少し考えるべきだろう。
ケルグの混乱がどの程度かは判らないが、そちら方面から来たと言うだけで警戒される可能性が否定できない。
ディオラさんが「ネーナス子爵と自分たちで交渉しますか?」とか言っていたので、その紹介状を持っていればスムーズに事は進むかもしれないが、逆に『貴族との交渉』という面倒事が増える。
ピニングに行くべきかどうかも含めて、良く検討すべきだろう。
「ひとまず、この町の本屋で探すとして……サールスタットにも行ってみる?」
「あそこか。掘り出し物、ちょっと期待するところはあるな」
時空魔法の魔道書を安く手に入れた場所だから。
「そろそろ暑くなってきましたし、避暑……とは少し違いますが、レジャーと魚釣りも兼ねて行くのはどうですか? 休暇代わりに」
「釣りと水遊び……良いな!」
「水遊びとは言ってないんですが……まぁ、そうですね」
ナツキのその提案に反対する理由は全く無く、この町での休みは1日に短縮。
明後日から出かけるという予定は、あっさりと可決された。
「そういえばさ、ダンジョンのこと、ギルドに報告しなくて良いのか? ほぼダンジョンというのは決まりだろ?」
思い出したように言ったトーヤの言葉に、俺たちは顔を見合わせる。
「報告ですか。『報告の必要がある』とは言われませんでしたね、登録するときには」
「ダンジョンに関する説明もほぼ受けてないしね。この近くには無いせいかもしれないけど」
ディオラさんから受けた冒険者に関する説明は、基本的にはランクに関すること程度。
実はダンジョンってそんなに重要じゃないのだろうか?
「でも、ダンジョンに入るためには、ランクが必要って話じゃなかった?」
「そうですね、ランク4以上ですね。ギルドの管理するダンジョンでは、ですが」
「つまり、管理外なら自由に入れる……?」
俺の言葉に、揃って顔を見合わせるが、誰も答えることはできず、首を捻るのみ。
所詮、知識のない者同士が集まったところで文殊になれるわけがない。
議論するだけ無駄である。
「一応、次にギルドに行ったとき、ディオラさんに一言伝えておきましょ。必要があるなら、その時色々教えてくれるでしょ」
結局、そういう事である。
◇ ◇ ◇
翌日は自由行動。
トーヤとハルカ、ナツキは本屋へ、ユキは食料の買い出しに向かったので、俺は一人、神殿へ。
いつも通りチャリンと大銀貨を放り込み、経験値を聞く。
――うむ、1レベルアップか。
大して強い敵は斃していないが、数はそれなりに多かったから、そのおかげだろうか。
「いつもありがとうございます」
さて帰るべ、と振り返ったところに居たのは、この神殿でよく見かける美人の神官さん。
俺が頻繁に訪れ、毎回、お布施を入れているためか、ニコニコと愛想良く挨拶してくれる人。
「最近よくお見かけ致しますね」
「ははは……私が無事に生きていられるのも、アドヴァストリス様のご加護と思っておりますので」
結構マジで。
スキルやレベルアップが無ければ、多分すぐに死んでいたと思うし。
それらが無ければ、係累の無い俺たちは日雇い労働者をずっと続け、多分中年ぐらいで死んでいたんじゃないだろうか?
だが、神官さんとしては、冒険者っぽい俺が真面目にそんな事を言ったのが意外だったのか、目を丸くして声を上げた。
「まぁ! あなたの信仰心はきっと神へと届くことでしょう」
「あー、恐れ入ります?」
そこまで信心は――いや、神が居ること自体は信じているが、教義云々は全く知らないので、信仰心とか言われてもちょっと困る。
俺が欲しいのは現世利益。
なので、日本人的曖昧な笑みを浮かべ、そのままフェードアウトする予定だったのだが……。
おや? 俺はなぜ、神殿裏の孤児院にいるのだろう?
いや、決して、シスターさんにガッシリと抱え込まれた俺の腕、そこに感じられる柔らかい感触に気を取られていたわけではない。
ほら、無理に引き抜いたりするとシスターさんに怪我させちゃうかも知れないだろ?
俺も鍛えたおかげでかなり力が強くなってるし?
――うん、ちょっと嘘ついた。
美人のシスターさんだったので、ついつい付いてきてしまったことは否定できない。
これが男の神官だったら、普通に帰っていたと思うし。
ただまぁ、孤児院にちょっと興味があった事も嘘ではない。治安状態や統治状態を測るバロメーターになると思うから。
ここがあんまり酷いようだと、定住するのには不安があるのだが……。
「ここが孤児院、ですか……。どのくらいの子供たちがいるのですか?」
「現在は23人です」
案内された孤児院は、日本の少し広めの戸建て住宅2つ分ぐらい。
俺の家2つよりは広いだろうが、ナツキの家よりは確実に狭い。
庭というか、運動場というか、建物に付属する土地はそれなりに広いので、走り回って遊ぶのには十分そうだが、部屋は狭そうである。
建物自体は多少年季が入っているものの、外から見た感じでは致命的に傷んでいる様子も無い。
経営としてはそれなりに余裕がある、のだろうか?
「ここの資金は?」
「領主様から頂くお金と、皆様からのお心付けです。それで何とかやりくりはしていますが……」
あんまり余裕は無い、と。
促されるまま入った建物の中は、それなりに古く補修箇所も多く見受けられるものの、補修が行われているという事を考えれば、悪くは無いのだろうか。
「しんかんちょうしゃま~~!」
案内されるまま孤児院の中を歩いていると、廊下の向こうから小さな女の子が、てててっ、と駆け寄ってきて、俺の姿に気がつき、慌てて急ブレーキをかけた。
「……だぁれ?」
俺を見上げ、首をかしげる幼女。
着ている物は少々
「こちらは……寄付してくれている方ですよ?」
俺を紹介しようとした神官さん……いや、神官長さん? は、ちょっと沈黙してから、そんな風に言う。
と言うか、何で俺、連れてこられたの?
多分、寄付が欲しいんだとは思うけど……信仰心があると思ったから?
孤児院の現状を見れば、信仰心のある人ならお金を出してくれる、と思ったのだろうか?
「そっかぁ。いちゅもありがとうごじゃいます」
舌っ足らずながら、丁寧な言葉でぺこりと頭を下げる女の子。
思わず神官長さんの方を見ると、スッと視線を逸らされてしまった。
いや、こんなの見せられたら、大人から変に寄付を求められるより、お金、出したくなるけどさぁ。
……あざとくない?
そんな俺の気持ちを感じたのか、神官長さんは慌てたように、俺に視線を合わせないまま、女の子に声をかけた。
「そ、それでレミー、いったいどうしたんですか?」
「あ、しょうだった! コロ兄とジェイ兄がけんか、してうの!」
「まぁまぁ、それはいけませんね!」
『いけませんね』と言いつつ、あんまり焦った様子も無く、神官長さんはレミーちゃんの手を取り、孤児院の奥へ。
一瞬、このまま踵を返して帰ろうかと思ったのだが、レミーちゃんがチラチラとこちらを振り返りながら歩いて行くので、それも難しい。
子供の視線は卑怯である。
諦めて付いていき、辿り着いたのは食堂?
広めの部屋の中で、7、8歳ぐらいの男の子2人が、取っ組み合いをしながら床の上を転がっている。
それを遠巻きに見る子供や、我関せずとばかりに部屋の隅で遊んでいる子供、むしろ煽るように
男の子、女の子入り乱れ、多くの子供がその部屋には集まっていた。
さすがに囃し立てていた子供は神官長さんの姿に気付くと、『ヤベッ!』とばかりに慌てて口を噤んだが、取っ組み合っている2人は気付かず、未だ交戦中である。
いや、交戦中と言っても、あんまりマジな喧嘩っぽくはなく、どちらかと言えばじゃれ合いに近いようにも見えるが。
そんな2人に、神官長さんの雷が落ちる。
「こらっ!!」
「「――っ! やべっ! 逃げろ!」」
今の今まで取っ組み合っていたのは何だったのか。
ハモるように同じ言葉を口にした2人は、しゅぱっと離れ、2人揃ってスタタタと孤児院の奥へと逃げていった。
「もうっ、あの2人は……。すみません、お騒がせして」
「あぁ、いえ。あの年代の子供だと、あんなものでしょう。元気で良いと思いますよ?」
少なくとも、取っ組み合いをする元気があるのだから。
但し、食事はあまり潤沢とは言えないようだし、服にも苦労している様子が見えるので、あまり元気すぎて服を破かれたりしたら、面倒を見ている神官長さんとしては困るとは思う。
特にこの世界で服は、下手をすれば資産になるほど高いのだから。
日本ならカジュアルな古着なんて、重量当たりで売り買いされる程度の価値しかないのになぁ。
「あ、申し遅れました。私、この神殿で神官長をしております、イシュカと申します」
「私はこの町を拠点に冒険者をしているナオです」
「ナオさん、ですね。どうぞ、奥へ」
食堂を出た後、案内されたのは、孤児たちの寝室。
俺が帰宅せずに案内を受けたのは、もちろん孤児院に興味があったからである。
再びしっかりと、イシュカさんに握られた俺の腕は、全く関係ない。
6畳ぐらいの部屋に3段ベッドが2つ。6人部屋らしい。それが6部屋。
今は4部屋しか使っていないが、昔はこの部屋に入りきらず、1つのベッドを2人で使っていたこともあったらしい。
幸い、イシュカさんがこの孤児院を担当するようになってからは、すべてのベッドが埋まるようなことは無いと言うことだが……。
「町中の孤児がここに居るんですか?」
「少なくとも、把握された孤児はここに集められます」
俺たちの住んでいるエリアは、一応、ラファンでは治安の悪い地域に当たるのだが、これまでストリートチルドレン的な孤児を見かけたことは無い。
スラムも無いし、治安が悪いと言っても、多少柄の悪い人物(主に冒険者)が歩いているだけで、いきなり襲われたりするような危険性も――まぁ、今の俺たちに関して言えば無い。
この町の大半の人は
「おかげさまで、この町はギリギリなんとかなっているのですが、やはり楽ではありません。あなたに、そしてこの子たちにも、より多くのご加護があれば良いのですが」
そう言いながらも、はっきりとは口にせず、じっと俺を見るイシュカさん。
そしてその後ろで同じようにじっと見るレミーちゃん+α。
うん、察しろ、と言うことですね? わかります。
しかし、『加護』、ねぇ。
こちらに来て神の実在は信じるようになった俺だが、人の作った宗教という枠組みは未だ信じていないし、今後も信仰するつもりは無い。
でも、『恩恵』はもらっちゃったんだよなぁ。経験値アップの。
実感は無いけど、さすがに神様が嘘は言わないと思う……いや、信じたい。
『初回ログイン』の時、神様もこの孤児院のこと、ちょっと気にしている雰囲気があったし……多少は出すべきか。
「そうですか……私にできる事は少ないですが、気持ちだけ」
そう言いながらイシュカさんにそっと手渡したのは、金貨5枚。
大金とは言えないが、多少は足しになることだろう。
だが、俺の渡した金額は、イシュカさんにとっては思ったより多かったようだ。
少し目を見開くと、これまでよりも柔らかい笑みを浮かべて、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。お気持ちは、大切に使わせて頂きます」
あー、この町を拠点にしている冒険者として考えれば、金貨5枚は十分に大金か。
だが、ここの孤児たちのためであれば、このくらいの寄付金自体はあまり惜しくは無いかな?
今後も冒険者を続けるとなれば、もしかすると俺の子供が、ここのお世話になる可能性もゼロでは無いわけだし。
――結婚の予定は無いけどなっ!
「機会があれば、また寄らせて頂きます。……あまり期待されても困りますけど」
「もちろんです。あなたの余裕を少し、あの子たちに分けて頂ければ、それで十分です」
とは言われても、可愛い子供と美人の神官長さん。
コンボで来られると、ちょっと無理して寄付してしまいそうでヤバい。
下手に子供たちと仲良くなったりすると、特に。
うん、早めに撤退しよう。
俺はイシュカさんに
そして、神官長さんにくっついていたレミーちゃんに『ばいばい』と手を振られ、俺は孤児院を後にしたのだった。
――まぁ、きっと、今後とも関わることになるんだろうなぁ。
『レベル』という物がある以上、俺たちはアドヴァストリス様の神殿から距離を置くことができないのだから。
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