「俺の」実録:魔導士冒険譚
まくら
prologue:「俺の」目次
『まもなく、二番線に、電車が参ります…』
いつもと変わらぬ景色。音。
駅のホームに並んで電車を待つ人の雑踏、アナウンス。
普通のしがない高校生「由良坂 雷斗」は、列の先頭で電車を待っていた。
今日の渋谷駅は何故か、やけに人が多い。
しかしそんなことを気にするわけでもなく、彼はスマートフォンを触る。
いつも通りログインボーナスをもらい、バトルに勝ち、オンライン掲示板に書き込む。そんなことが続くと、彼は思っていた。
「ねぇー、ゆうくん、みかりんねむぅい」
「まったく、ねぼすけさんだなあ」
自分と同じ学校の制服を着たカップルが共に通学している様子をちらりと見て、少しだけ彼女が欲しいと頭の奥底で考えながら。
「……はぁ」
小さな溜息の音は、電車が走ってくる音にかき消される。
その時、ほぼ同時で、サラリーマンの走る音が聞こえる。
自分にぶつかった音が聞こえる。
スマートフォンが割れた音が聞こえる。
次に聞こえたのは……
緊急停止の音。
自分の体が軋む音。
痛みも痒みも歪みもない。
ただ
意識が
いしきが…?
遠のく。
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