僕と竜姫さまとで始めた。広島風お好み焼き屋のお店!
かず斉入道
第1話 プロローグ (1)
あああ、今日も暇だな、僕のお店はね。だから僕の口からは「はぁ~」と、溜息しか漏れてこない。
今はちょうどお昼時……。
どこのお店もお昼のランチタイムの時間だから大賑わいで、満員御礼だと思うのにね。
でもさ、僕のお店は、お客さまが誰一人としていない。
わざわざ夢のマイホームという奴を建てお店を始めたのに。
それもさ、この飲食店経営が、僕の幼少の頃からの夢でね。この飲食店の経営の方が上手く軌道に乗れば、僕は大変に綺麗なお嬢さまをお嫁さんにして、『イチャイチャ、ラブラブ』しながら、お店の経営をしていくことも夢だった。
それでさぁ~、二人で、二人三脚しながら仲良く『あなた~! おまえ~!』と、言った感じで声を漏らして。
二人寄り添い『ラブラブ』と『ソング』迄歌いながら経営を続けていくのも夢だった。
というか?
僕の小さな夢は、実は実現する筈だった。
う~ん、なのにさ?
僕の大事な御嫁さんは。僕だけを置いて他界をしたのだよ。
だからね、僕は、その日を境に、こんなにも、何に対してやる気がないというか?
もう二度と前向きにはなれないのだよ。僕が心から愛した妻が側にいないから。
まあ、そう言う訳だから、僕は今日も転寝をしようと思うのだよ。
ん? お客さまが来店をしたらどうするか、だって?
う~ん、まあ、そうなれば、来店をしたお客さまが僕の背を揺すり起こしてくれると思うから?
傍から気落ちをしている僕を見詰めてくれている皆さんは気になるかもしれないが放っておいてくれてかまわない。
だから今日もいつものように僕は転寝をすることにする。
ではさようなら~。傍から、だらしない僕を『ハァ~』と、嘆息を漏らしながら凝視している皆さん~。ではでは、お休みなさい~。
「ぐぅ~、ぐぅ~。すぅ~、すぅ~、zzz……」
「パパ~、パパ~、起きて~。パパ~。パパ~」
……ん? あれ? いつもの少女の声がする。
それもいつものように僕の背を揺すり起こす。何処かの誰かさん、みたいに……。
と、いうことだから、僕はいつものように転寝をするのをやめ顔をあげる。
すると金髪碧眼のエルフのような少女は、妻を亡くして気落ちをし、冷え込んでいる僕の心を温めるような笑みを浮かべながら。
「パパ~、元気を出してよ~。パパにはリムが毎日通って支えてあげているのだから~。元気を出してよ。お願い~」と。
毎日僕に癒し労いの言葉を囁いてくれる。
「ありがとうね。リムちゃん……。オジサンの僕をいつも励ましてくれて……」
だから僕はリムちゃんに、毎日のようにお礼を告げるのだよ。
まるで、僕自身の娘にでも労いの言葉をかけてもらっているような錯覚に堕ちそうになるぐらい心の中が温まる。
するとリムちゃんは、自身の頭を軽く振りながら。
「うぅ~ん。いいよ~。パパはリムの大事な男性(ひと)で旦那さまだからいいの~」
と、告げてくる。
う~ん、困ったなぁ~。僕……。
リムちゃんとは年齢が不釣り合い。
まあ、子供が言うことだから余り気にしないで聞いている。
でもさ、リムちゃんの容姿を傍から皆さんが見ればわかる通りで、彼女は未だ子供……。
それに僕は摩訶不思議な美少女と結婚した記憶もないので。
「あのね、リムちゃん? 僕はオジサンでもう大人……。それにもう他界したけれど、奥さんもつい最近までいた男性だから……。リムちゃんはもっと若い子と結婚をした方がいいよ」と。
僕は摩訶不思議な少女リムちゃんにいつも告げているのだよ。
それでも少女はね。
「そんなことは知っているよ~。リムは竜姫だから~。それに先程からパパはリムのことを子供~、子供~と言っているけれど。これでもリムの年齢は百歳ぐらいなのだから。パパよりは年上のおばちゃんなんだよ~」
と、摩訶不思議なリムちゃんはいつも僕に告げてくる。
まるで僕を子供のような扱いでね。
それどころか? 僕の母親や妻、彼女のような振る舞いで。僕の背から抱きつき甘えてくることも度々……。
それも、「パパ~、元気になぁ~れぇ~」と、言葉を漏らしながら、僕を抱き締めながら頭も優しく撫でてくるから。更に僕の冷えた心は温かくなり癒される。
だから僕自身も時間が経つと、いつのまにやら幼い少女へと甘えている状態……。
そんな赤ちゃんみたいな僕をリムちゃんはハグ……。
その上、優しく接吻もしてくれることも度々……。
まあ、そんな少女の姿を見れば、リムちゃんの言う通りで、僕よりも大人の女性なのかも知れないと確信をする。
そんな可愛い少女との長い接吻が終わると。リムちゃんは濡れた唇を開いて。
「今度はね、パパのお嫁さんになりといっている、リムの姉上も連れてくるからね。パパ~。だから楽しみにしていてね~」と。
また大人の僕が困惑をしそうな言葉を告げてくるのだよ。
だから僕はリムちゃんに慌てふためきながら。
「ちょ、ちょっと待ってよ。リムちゃん~。お姉さんって……。君は僕の夢の中に現れる幻想の乙女じゃなかったの?」
と、訊ねてみるのだ。
でもね、幼い少女のリムちゃんは自身の頭を軽く振りながら。
「うぅ~ん、違うよ~。リムはパパの妄想の世界の中の竜姫ではないの~。ちゃんと別の世界にいるパパの家族で妻だからね~」
と、天使の笑みを浮かべながら告げてくるのだが。
僕には以前妻がいたので、家族と言えば他界をした妻と両親のみなので。
「で、でもね。リムちゃん……。いつも僕が言っているとは思うのだけれど? 僕には以前妻がいたわけで……。家族と言えば他界した妻……」と。
僕が言いかけたところでリムちゃんは。
「知っているよ~。母上のことでしょう~? でもね、パパ~? 母上がパパの許へとこなくなった後に。パパを支え寄り添い尽くしたのはリムなのだから。ちゃんと責任をとってよ。パパ~。わかった~?」
リムちゃんは僕の背から胸へと移動──。
そして僕に、大人の女性のような振る舞いで、妖艶に微笑みながら、相変わらず僕が困惑しそうな台詞を強気の口調で告げてきた。
……だけならいいのだが。そのまままた僕の唇を自身の唇を重ね。僕にこれ以上の台詞を漏らせない程の濃厚なキスをしてきた。
う~ん、それでも僕は、このままでは『イカン!』と思い。
「うごうごうご」(だ、だめだよ。リムちゃん離れて……。僕には他界した絵美がいるから……)
と、言葉を漏らし抵抗を試みるのだが。
これもいつもの通りで、リムちゃんの、成すがままの大人の振る舞いに自身の身体を委ね任す僕だったのだ。
と、いうことだから?
僕と不思議な竜姫さま達との摩訶不思議な出逢いを、これから説明していくね。
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