第139話迫り来る戦か③


アメリカが俺に会いたいと俺に打診してきたが、裏から総理が会わない方が良いと言うので、俺は打診を無視して結局会わず。




それでも日本政府はアメリカを完全に無視することができず、横須賀と沖縄の辺野古とホワイトビーチを賃貸で貸す代わりに、日本のかなり優位な条件で新たな安保を結ぶことを条件に出した。




この条件ではアメリカも諦めるだろうと思っていたら、総理に大頭領から条件を詰めたいと連絡が入ったことで、もう終わったと思っていた官僚たちは対策に大慌てで、交渉内容を纏めだした。




「しかし総理、まさかアメリカがここまで屈辱的な条約に前向きとは」




「アメリカも今更ブライドなんて構っている余裕は無いのだろう」




「ただ恐いのは、いまだにアメリカは軍事産業が幅を利かせていて、かなり際どいことをしてるようです」




「ああ、人間の遺伝子とモンスターを掛け合わせたり、兵士にモンスターの能力を融合させる実験をしているらしいな」




「信じられませんな、人間をなんだと思っているのか」




「漫画好きの元総理が言っていたが、アメリカは獣人を造るつもりらしいが、獣人はケモノ耳とフワフワ尻尾しか認めんと言ってたな」




「あの人はそういうの好きですからね」




「ただアメリカが考えているのは兵器でしかないからな、恐い国だよ」




「そのためにも完全に離れるのでは無く、多少の繋がりを残すのですね」




「ただし、ドラゴンや大曽根くんのところのモンスターたちの遺伝子は絶対に渡してはいけない」




「アメリカの最大の目標はドラゴンの遺伝子ですからね」




「それと、対馬や九州の状況は?」




「九州は落ち着きました、しかし対馬はボロボロです」




「しかしアメリカは第二次大戦の反省は無いのか、兵士も民間人も関係無く艦砲射撃と空爆で無差別攻撃とは」




「奴らは批難される場が無いことで虐殺してでも利益を優先しますから」




「絶対にアメリカにもう力を持たせてはいけないな」




「そのためにもアジアを纏めて対抗手段を構築しなければなりません」




「しかしな、各国の足並みが揃わないんだよ、戦前の日本に逆戻りだと言って来る国も有るし」




「今回のことで、それらの国は除外で良いでしょう、今回の戦闘も後で日本が仕掛けたとか因縁つけて来るでしょう、今でさえ日本は殖民地の反省が有るなら支援しろと言って来てますから」




「戦争を仕掛けて血がまだ乾く前によく言えるな」




「奴らは市民が勝手にやったことで港や街が無茶苦茶になった。日本の責任だと言ってます。こちらは港も街も攻撃してませんから文句はアメリカに言って下さいで通してます」




「それで良いでしょう、支援も一切しません。甘い顔すると付け上がりますから」




「しかし、可哀想な国民ですな、嘘や相手を攻撃することでしか支持を集められないのですから」




「昔日本に謙虚な姿勢をと言ってきた大頭領が居ましたが、そっくりそのままお返ししたいですね」




「そんなことも有りましたね」




そんな会話をしている頃、アメリカではアーマードスーツを装備した機械化師団と遺伝子組み換えの獣化師団の設立準備が着々と進められていた。




しかし、どちらも直ぐに実戦投入できる状態では無く、多くの血を流す結果になりさらにアメリカを焦らせた。






そんなこととは無関係な村ではクリスマスも終わり、雅也の妻4人が妊娠したことが解り、義理の両親が狂喜乱舞していた。




雅也も嬉しいがまだ実感がわかず、妻たちを労うがまだお腹も大きくなってないし、安定期に入ってもいないので雅也は不安でいっぱいだ。




それでも妻たちを落ち着かせて正月準備をしていると、総理から相談したいことが有ると連絡が来た。




話を聞くと、行方不明に成った高校生が南米で見つかり、その彼が異世界に召還され向こうで勇者をしていたと話していて、さらに仲間が後4人居るらしい。




自衛隊が南米まで迎えに行き連れ帰るので一緒に会ってくれないかと言って来た。




しかも、残りの4人は異世界人らしい、うちにも異世界人が2人居るが総理には話していない。




何故俺の同行を求めるのか聞くと、俺のところなら鬼人族もモンスターたちも居るから詳しいかと思ったからと言いやがった。




俺は勇者は管轄外と断ったが、結局総理に泣き付かれ、自称勇者の行方不明者に会う約束をさせられた。




「勇者様、勇者様の育った日本にやっと行けるのですね」




「ああ、やっと帰れる、ダンジョンを出てから1年以上ジャンルでさ迷いここが地球と解っても日本に連絡も取れず苦労したがやっと帰れる」




「日本に行ったら美味しい物食べさせて下さいね」




しかし、勇者一行はよく知らなかった。世界各地にダンジョンが発生して世界中がめちゃくちゃになっていることを。




勇者ヒロミはいまだ連絡の取れない家族との再会を夢に日本に向かった。




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