第137話迫り来る戦火①


俺たちは名古屋から村に帰り普通の生活に戻った。




結局、名古屋は湾岸地域のみ奪還で作戦は終了。




それでも、政府が考えていた、航空機のメンテナンス工場や弾薬工場も再開の目処が立ったようだ。




俺はそこら辺のことには関わらないようにしてる、只でさえ政府は国内問題以外に外交問題も抱えている、そんな事に関わっていたら体が幾つ有っても足りない事態に陥りそうだから。




俺は本当は村だけ守りのんびり暮らしたい、だが知り合いが増えれば増える程、俺が思い描いた生活とは程遠くなる。




当初の予定と反して村は大きくなった、人は増え色々な生産も始まった。




最近では、ガラス工房などもポーション生産のために盛んだ。




ただ、出来上がったポーションは政府が作ってくれている小さなペットボトルに入れている。


ガラスだと割れる危険が有るからだ、じゃあ何故ガラス工房が盛んかと言うと、実験用の道具の生産だ。




昔は安い海外製の試験管やプレパラートすら今じゃ簡単には手に入らない、元々ガラス工房は趣味のために創ったのに今じゃ工房じゃ無くて工場と化している。




関わる人たちも、国の安定のために進んで頑張っているのに、俺が趣味のために邪魔するのもなんか違うので任せている。




鍛冶工房の皆も国の安定のためにと頑張っている、俺は日本人の勤勉さに改めて実感された。




しかし俺は何故か、いまだに手の届く範囲でしか進んで行動を起こす気が起きなかった。




それはまるで、遊び呆けてるドラゴンコンビに近いのかもしれない、でもドラゴンでもイザベラのように率先して働く者も居るので、竜核が埋め込まれたからと言う言い訳は使えない。




そこで心機一転、俺も働こうと思ったら皆から遠慮された。




そんな俺を必要だと声を掛けられ振り向くと、管理班のおばちゃんもといお姉さまたちが。




「村長、働きたいなら管理班の仕事が貯まってますよ」




「いや、俺も何かを作る仕事がしたい」




「はいはい、村長には新たな時代を作る仕事が有りますよ」




「いや違うんだ、俺も‥‥」




「はいはい、言い訳は良いから仕事してください」




結局俺は問答無用で連行され、貯まった決裁や資材管理などをさせられた。




そんな仕事をしていると、今後のイベントについての話になった。




間近に迫ったクリスマスだ。




去年はまだ人が少なかったからなんとか食堂などを使って出来たが今年はとても収まらない。




じゃあどうするか、子供たちにはオモチャを配るのは問題無い、ただパーティーを開くのは難しい、じゃあ各家庭でとなると家族を失った人も多いためになにか考えなければならない。




各班単位や独身者向けに分けてやるしかないか。




「村長には大変かも知れませんがお願いしますね」




「なんで俺が大変なんだ?」




「村長には全てに参加してもらいます」




「なんで俺が?」




「村長が参加しなかった班は、村長に期待されていないと思い、悲しみますよ」




「そんな事無いだろ」




「甘いですよ村長、村長はこの住民からどれだけ人気が有るか知らないんですか?」




「えっ、そうなの?」




「そうなのじゃあ無いですよ、村長が居なかったら死んでた人だって居るんですよ、それと村長の強さは憧れ、村長は男性も女性からも人気なんですから、参加は絶対ですよ、解りましたか?」




「はい」




俺がイベントの話で頭を抱えていた頃、総理は大変な問題で頭を抱えていた。




尖閣諸島沖に有るガス田に中国からの攻撃を受けていた。




しかも中国はまともな軍艦が無いのか、大量な漁船で攻めて来た。




政府も自衛のため護衛艦を派遣していたが、中国は漁船で攻めて来たために当初は威嚇にとどめたが中国は撤退しなかった。




仕方なく何隻かに攻撃を加え沈没させたが、それでも撤退しない光景を見てなおも攻撃し、多くの漁船を葬り去った。




すると護衛艦乗組員は自分たちが虐殺行為をしたのでは無いかと心を殺した。




さらにこれと同時期に対馬に対し、中韓合同で攻め込んで来た。




こちらも殆どが漁船で、こちらは数多く、対馬では地上戦にまで発展していた。




その動向を見てアメリカが安保に従い、対馬戦に参加すると打診が有り、グアムから部隊を向かわせる連絡が来た。




「今更アメリカはなにを考えている?」




「アメリカが裏で糸を引いてる可能性も有るかも知れません」




「アメリカもそこまでしないだろう」




「解りませんよ、アメリカは何としても日本に貸しを作りたいようですし」




「そんな事は後で良い、対馬は自衛隊でなんとかなるのか?」




「被害は出ますがポーションも有るので、自衛隊だけで撃退は可能です」




「そうか、苦労を掛けるがよろしく頼む」




そんな中、新たな問題が発生した。




「総理、関西の反政府組織が発起しました。一般市民を襲っています」




「こんな時に」




「奴らはやはり繋がってましたね」




「もう奴らはテロ集団だ、射殺も許可する、壊滅しろ」




「了解しました」




「俺は平和になった未来、虐殺者の総理と歴史に残るだろう、だが俺の名誉なんてくそ食らえだ、市民の安全が最優先だ、全力で当たらせろ」




「総理、大曽根さんに救援をお願いしますか?」




「馬鹿者、大曽根くんにこれ以上負担を描けるな」




そんな事が起きてるとも知らない雅也はつわりの影響なのか、恋花はこたつでミカンをばくばく食べていた。




(そんなにミカンを食べて産まれて来る子供がオレンジ色で産まれないか心配になる)




「なに?」




「なんでもないよ」






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