第109話ブルネイ③
俺達がダンジョンに近づくと、ダンジョン前で何やら揉めている。
「良いから早くダンジョンに入れ」
「こいつは今、妊娠しているんだ、俺達は入るからこいつだけは休ませてやってくれ」
「ダメだダメだ、お前たちはダンジョンを攻略する条件で衣食住を与えてる、一人減れば俺達の危険が増える」
「お前達なにを揉めている」
「王太子様、こいつらがダンジョンに入るのを嫌がるもので」
揉めている人たちを見ると、軍服を着た男たちと、薄汚れた服を着た男女5人の若者が居た。
しかもよく見ると、男女5人の頭には2本の角が生えていた。
「俺達も入らないとは言って無い、妊婦だけは休ませてくれ」
王太子に着いて俺達も近づくと、男女5人が俺を見て驚愕の浮かべるが、俺達はマレー語が解らないので話してる内容は解らない。
「王太子、彼らはなにを揉めているのですか?」
5人の男女は俺になにか話し掛けて来るが、マレー語は解らない。
「大曽根殿、お見苦しいところをお見せした、彼らは鬼人族と言って我が国で保護している者です」
後から大使館の通訳の人間も来たので、鬼人族の男が俺に話し掛けて来る内容を通訳して貰うと。
「強き者よ、俺達はダンジョンに入るのは構わない、ただ、こいつは妊娠しているから、こいつだけは休ませて欲しい」
話を聞いた俺は、王太子に聞いた。
「彼らはなんでダンジョンに同行しているのですか?彼らとちょっと話たいのですが」
「彼らは、戦闘力は高いが生活力は一切無いらしく、ダンジョンに入る代わりに衣食住を与えている」
(なんて残念な戦闘民族)
王太子の計らいで、近くの詰所で話すことにした。
彼らの話を聞くと、彼らはオーガを従える者で、どうやらダンジョンに狩りに来ていたが、ダンジョンに異変が起きて外に出るが、正気を失ったオーガたちはいなく成り困っているところをブルネイの人たちに助けられ、生活していたがブルネイ軍に見つかり、ダンジョン攻略を手伝う代わりに衣食住の提供を受けることで協力することにしたらしい。
ただ、徐々に軍から無理強いさせられ、体調の悪い妊婦すら休ませて貰えなくなったらしく不満が溜まっているようだ。
鬼人族は中々子供が産まれない種族らしく、もしお腹の子になにか有れば軍を滅ぼしてやるとまで追い込まれていた。
話を聞いた王太子は青い顔をして、王太子は彼らの戦闘力を知っていたので余計に驚いた。
俺は不思議に思い、鬼人族に聞いてみた。
「貴方たちなら、ブルネイを支配するぐらいの強さが有ると思うんだが、どうしてしたがっている?」
「俺達はブルネイの人たちに助けて貰った、恥ずかしながら俺達は生活力は無い、だから助けてくれた人たちに恩が有る。だから従って来たが、もう限界だ」
「王太子、このまま行くとブルネイ軍は壊滅しますよ」
「私も話を聞いて驚いた、軍は馬鹿なのか自分達で手に負えない者をここまで追い込むとは」
「で、どうするんですか?」
「軍に言って待遇改善して貰うしか無いだろう」
「待ってくれ、俺達はもう軍に従うつもりは無い、口ではなんとでも言えるが軍の人間は俺達を見下している、ブルネイの人たちには悪いがもう限界だ」
王太子は天井に見つめ考え込んでしまった。
「鬼人族の方達、良ければ俺達と一緒に日本に来ないか、うちの村ならリザードマンもグリフォンもスノータイガーも一緒に生活している、勿論働いては貰うがな。妊婦は確り子供を産んで貰い子育てをしてもらって構わない」
「待ってくれ大曽根殿、ブルネイとしても、ダンジョンの脅威に悩まされている、鬼人族のお陰でダンジョンから出た強力なモンスターは倒せたが、まだモンスターたちは密林に多く居る、市民を守る為に軍は、ダンジョンと防衛でいっぱいいっぱいだ、彼らが居なく成ればダンジョンからまたモンスターが溢れ出す事態が起きる」
「そんな事言ったって、彼らを冷遇して、ダンジョンと鬼人族と言う二つの爆弾を抱える事態を招いたんじゃないですか?」
「解っている、我々のミスだ、まさかこんな事態に成っているとは思わなかった」
「じゃあ、俺が二つの爆弾を取り除いてあげましょうか?」
「どうやって?」
「鬼人族の皆さん、俺の所に来る気は有るかい?」
「強き者よ、我々を受け入れてくれるなら、お願いしたい」
「解った、王太子俺達がこのダンジョンを攻略しよう。ダンジョンを攻略したら鬼人族は連れて帰る」
「このダンジョンはかなり深いようだ、攻略する為にはかなり時間が掛かる、補給線の確保にもかなりの軍人の犠牲が見込まれる、いくら強い鬼人族がいても補給無しには攻略できない」
「詳しい話しは出来ないが、俺達は補給無しでダンジョン攻略ができる、ダンジョン攻略が終れば鬼人族を日本に連れて帰る事を許可してくれるか?」
「今直ぐ結論は出せない、王にも確認を取らなければ成らない」
「解った、結論が出るまで待ちましょう、ただ彼らは我々とホテルで過ごして貰うが良いか?」
「解った、許可しよう」
俺達は鬼人族を連れてホテルに戻った。
ただ、鬼人族と一緒にダンジョンに潜るには、まだ言葉の壁が有った。大使館の協力で戦闘中困らないように、鬼人族には日本語を教え、俺達はマレー語を習うことにした。
(最悪、覚えられなかったら大使館の人にはダンジョンに同行してもらおう)
俺達はホテルで語学勉強している間、外務省の人や大臣はブルネイと新たな交渉に追われていた、どちらの国も有利に成るように水面下での攻防を繰り広げていた。
ところでなんで俺の事を強き者と呼ぶか聞いたら、俺から強い力を感じるらしい。
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