第93話帰って来てもお仕事
ヤバイ、恋花がデレた! 今まで抑えていたものを解放したら、今までのしっかり者から可愛い女の子になった。
俺にもかつて彼女が居たことはあって、それなりの経験はある。でも結婚してしかも嫁が4人いたら、なんか無理させられないし遊びじゃないわけだから本当の自分を少しは隠していたりもする。しかしながら、今回俺は悟った。これからは夫婦として自分を隠さず生きていくことにするよ。
温泉にも一緒に入り幸せ気分で家を出ると、てぐすね引いて待っていた集団が。
俺は見事に捕まりました。報告は大事ですよね。先ずはコンテナを100個出し管理班が中を確認するらしい。それから館長たち執行部とは、政府との話し合いの内容や1週間後に来る自衛官についても話し合った。
会議が終わると今度は石川姉弟が待ち構えていた、しかも何故か笑みを浮かべて。危険を感じたので食堂で食事を取りながら話すことにしたんだが、食堂に向かう途中でもおかしな物を見た。
前に被害に遭い旅館で過ごしていた女子高生が、なんと沖田のオヤジさんところの若いのと手を繋ぎ歩いているのだ! しかも誰がどう見ても付き合っているようにしか見えない。声を掛けようか悩んだが邪魔はしたくないのでスルーしたけども。
食堂に着くと石川姉弟が新たなモンスターの素材とコークスはあるか聞いてきたので、勿論あるから渡すよと伝えた。
しかし本題はこれではなかった。なんと魔石を使った刀がついに完成したようなのだ。実物は食後に見せてもらうが、射程は10mと短いものの刀で斬撃が飛ばせるらしい。ただしあまり連発すると体力を奪われるために使い処は考えないといけないとのこと。
俺は午後からリザードマンの所に行く予定だったが、予定を変更して刀を見せてもらうことにした。
火の魔石を使った刀は、刀身は真っ黒で刃紋が赤く、見た目は使うと呪われそうな外見をしていた。
使い方を教えてもらい刀を振ると、刀から炎の刃が飛んでいくのが見えた。
炎は木に当たると直径60cmはありそうな木の半分まで切り裂いた。しかも切れた部分は焦げて一部炭のようになっている。
「凄いなこれ!」
「でしょでしょ」
新撰組の彼女たちは我慢できずに刀を取りだし試し出した。
恋花は火の刀、美咲が水の刀、歩美が風の刀、楓が土の刀を使い斬撃を飛ばした。
水の刀は炎より切れ味が良く、一発で木を切り倒した。
風も同様で一発で木を切り倒した。しかし土は切ると言うより固い物で殴ったように木の表面を粉砕してみせた。
しかし、これは使い処を間違えると仲間に当たるな……考えないと使えない。彼女たちには慣れてもらいフレンドファイアだけは起こさないようにしてもらわないと、危なくて使えない。
そのうえ、問題はそれだけではなかった。彼女たちが何発も連続で斬撃を飛ばしていると、その場で座り込んでしまったのだ。
どうやら、連続して使うと体力が奪われるようで俺の聖剣と同じらしい。慣れれば斬撃を飛ばすか飛ばさないかという選択ができるらしいが、今のままじゃ実戦には使えない。彼女たちには一刻も早く使いこなしてもらわないといけないな。
石川姉弟が刀に名前を付けてほしいと言ってきたので、彼女たちに丸投げすると、俺に付けてほしいと切り返してきた。
俺は刀を振った時から何となく見えていた物があったので刀に名を付けた。
火の刀に朱雀、水の刀に青龍、風の刀に白虎、土の刀に玄武と名付けた。
彼女たちは休んでから今日は練習していると言うので、俺はほどほどにしておけよと伝え、石川姉弟と鍛冶小屋に向かうことにした。
刀の素材は何を使ったのか聞くと、メインはワイバーンの爪らしく、それ以外も色々使ったが刀身の黒は爪の影響で黒いようだ。ただ魔石が未だによく解らないらしく、俺もナビに聞いてみたが解らなかった。
予定より遅れたが、リザードマンの所に行くつもりなので、ダンジョンで休んでいるグリフォンを呼びに来た。
ダンジョンに降りると、グリフォンたちは寝ていた。子グリフォンたちはまだ小さいが元気に走り回っている。子虎や子猪たちが面倒を見てるようで、あのマイペースな太陽もお兄ちゃんしてるところを見るとほっこりしてしまう。
子供たちを一通り撫でてあげ、リザードマンの所に行こうとするとマリアが俺を連れていくと言い出した。
俺は焼きもち焼きのアインスを見ると、どうやらマリアに乗るのは良いらしい。
マリアに乗りリザードマンたちのもとへ向かう途中、マリアと色々なことを話した。
マリアは最近子供たちとダンジョンに潜っていて、30階層まで子供たちを連れていっているらしく、子供たちも大分強くなったと嬉しそうに話してくれた。
でも最近、グリフォンたちばかり移動に連れていくからつまらないと苦言も呈された。
グリフォンたちは空を飛ぶから障害物もなく速いが、マリアも大きい体で安定感もあり地上を速く走っても安心できる。
実際のところ、俺は別にマリアを蔑ろにしてるわけじゃない。マリアが子虎たちの母親だから一緒に居る時間を邪魔したくないだけだ。
マリアも解って言っているのが解るから、マリアとの付き合いは楽で楽しい。
リザードマンたちの所に着くと、彼らはマリアにビビっていたが俺を見つけると安心してくれたようで直ぐに案内してくれた。
リザードマンたちは元はキャンプ場だった所にテントを張り生活し始めていた。
森にも入り木を切り出したり、魚を捕ったりすっかり馴染んでいた。
リーダーのテントに行くと、良い所に連れてきてくれたと感謝され、これで生活していけると何度も感謝された。
魚も豊富で近くに強いモンスターも居ないから、安心して子育てができると喜んでいた。
お礼にと魚を渡されそうになったが、残念ながらブラックバスは食べないので丁重に辞退した。
リザードマンたちは今のところ物資の問題無く、渡した布で洋服も作れるし、木の加工も始めたようで安心した。
落ち着いたら是非村にも招待しよう。
リザードマンたちの顔色は解らないが、東京湾に居た時より、なんかのんびりしてるように見える、まだ60人足らずのリザードマンたちだが、ここで落ち着いて暮らせることを願う。
テントから出ると、マリアも暑いのか泳いでいた。犬かきならぬ虎かきでゆったり泳ぎ、大きな背中には子供のリザードマンたちが乗っている。マリアは本当にどこに行ってもお母さんなんだよな。
俺もベンチに座ってのんびりと過ごし子供とマリアを眺めながらリザードマンたちが安心して過ごせるように願った。
村に帰ると、そこには精魂尽き果てた彼女たちがソファーで死んでいた。
全く新しいおもちゃを貰った子供じゃないんだから、限度があるだろうに……恋花なんか昨日の夜も運動したせいか、ぴくりとも動かない。とりあえずベッドに運び寝かせた。今日は歩美の順番だったみたいだが、有無も言わせず寝かしつけた。
そのお蔭で俺は久しぶりに雪とシルバ2匹と一緒にゆっくり寝られたよ。
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