彼女は僕に嘘をついている。
@mihara_022
発端
「 素江崎 さん 」
賑やかな喧騒に包まれるごく普通の教室。
そんな中でも僕は今日も浮いていて 、 友達も少ないこのクラスの中 1人本を読んでいた 。 先生に呼ばれ 特に気にしなくていいものを ネクタイを調節し急いで教卓へ行った。
「 何でしょうか 、… 世々次先生 」
陽が当たり 眩しくて眉間に皺を寄せる。
今日は天気がいい。
先生は少し唇を噤んでから 先週来た転入生の子に学校案内をしろ、と僕に命じた。
「 分かりました … 」
嫌ではない、だが クラスの誰も彼女に縋らない。
容姿端麗で 顔も整っているのに 。
そんな彼女を皆、“ “ と囃し立てる。
「 志治磨 さん 、 」
後ろから声を掛けると 彼女は大袈裟に驚いた。 僕自身もそんなに驚くとは思ってないし 第一、驚かそうとしてやった訳では無い。
「 あ、 … えと 」
授業発言以外に初めて単独で聞いた。
声はか細く 耳をすましてやって聴ける程度だ。
「 僕 、 素江崎 。 素江崎 有羽 。
… ってフルネームで自己紹介だなんて 恥ずかしいな 、 」
頭をぽりぽり掻きながら言う。
彼女は首を横に振り 彼女もフルネームで
教えてくれた。
「 志治磨 芽美
全然そんな事なんか … 」
彼女はそう言うと 彼女のブレザーのポケットからバイブ音が聞こえた。
「 素江崎 、 くん … また 後でね 」
ぱたぱた、と教室から出ていく彼女の背中を見ると何かありそうで。
「 そえちゃ ~ ん ? 」
ぎゅー っと後ろから抱き締めてくる 人は
このクラスで唯一の親友、 中岳 くんだ。
「 中岳 、 今日はいつにも増して重いよ … 」
体重を僕の背中に預け 、 けらけら上で笑っている
「 そえちゃん、あの子あれだよ 」
やっと離してくれて、中岳はなにか言いたそうに口をもごもごしている。
「 な、なに 」
中岳くんが口を開こうとしたら 誰かが中岳の口を抑えた。
彼女は僕に嘘をついている。 @mihara_022
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