おやすみ。


 ――――――――


 ――――


 ――


「さぁ、ここが今日から君たちの部屋だよ。」


 男に案内された部屋に足を踏み入れると、部屋の中央に天蓋付きの大きなベッドがあった。


「慣れないことばかりで疲れただろう。暖かいミルクを入れたから、これを飲んで今日はもうおやすみ。」


「何から何までありがとうございます。」

「私たち、とても幸せな気持ちですわ…!おやすみなさい。」

「ふふ、それは良かった。ゆっくり、おやすみ・・・。」


 男が部屋を立ち去ると、従者から手渡されたホットミルクを飲みながら、私たちはベッドへと腰掛ける。


「私こんなに幸せな気持ちになったの生まれて初めて。」

「ふふっそんなの私もよ!噂、本当だったわね!」

「ここには、私たちを蔑むような人間は一人もいないわ。」

「窓の外を見て!いつもなら寒くて辛いはずの雪も、今日ならなんだか綺麗に見えるわ。」

「そうね…何だか…まだ話したいのに眠くなってきたわ…。」

「今日一日動きっぱなしだったからきっとすごく疲れたのね…ふあぁ…。」


 足早にふかふかのベッドへと潜り込み、広いベッドの中、お互い中央へと身を寄せる。

 そしてお互いに向き合うように、手を絡め合い見つめ合った。


「……っ。」

「ど…どうしたの?!」


 突然親友が涙を流し始めた。

 一瞬驚いたが、彼女は笑顔だった。


「私…私夢みたいで……貴女とずっとこんな暮らしができるなんて考えたら……幸せで…!」

「何言ってるのっ!私達親友でしょう?私だってこんなの…最高のプレゼントなんだから…!」


 フッとお互いに笑みが零れる。と同時に瞼が重くなる。


「これからもずっと……一緒よ……。」

「う…ん……。」


 穏やかな彼女の顔を確認した後、私も眼を閉じた。

 

 これからの未来へ胸を弾ませながら、私は親友と最期のしあわせな夢を見る。

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