第48話 家族の思い出

「俺のことなんてどーでもいいんだろ?」

 息子が中学に入った途端、反抗期を迎えた。

 共働きで、あまり構ってやれてないからか?

 俺も妻も毎日帰宅が遅いので、最近はすれ違ってばかりだ。どうしよう……。

 俺は暫し考え、次の休みの日に新型VRシステムを買ってきた。

「翔、これを一緒に見よう」


 VRゴーグルは三つ。一人一つずつかけさせ、俺はスタートボタンを押した。

 予め設定していた通り、俺自身の家族と過ごした思い出が流れはじめ、年を遡っていく。

 最初は嫌々だった息子も、幼児期に三人で過ごした場面になると

「こんなことあったんだね。俺は愛してもらってたのか……」と感嘆の声をあげた。

 その言葉を聞いて妻と共にホッと一息つくと、息子の生まれる場面まで遡った。

「わぁ、俺が生まれた時こんなんだったんだ!母さん嬉しくて泣いてるじゃん」

 良かった!!


 しかし、そのままVRはもっと記憶を遡りはじめ、二人の交際していた時代に──。


「「翔、見ちゃだめ!!」」

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