第40話 真っ直ぐ
ばあちゃんは寒がりで、曲がったことが大嫌い。寒い日には、下着に貼れるカイロを貼るのだけど、それをいつも孫の私に手伝わせていた。
「誰にも見られる場所じゃないんだから、適当に貼ればいいじゃん?」
と私が言えば
「イヤだよ!曲がってるのは気持ちが悪いんだ!」
と言って、必ず私に真っ直ぐ下着に貼らせた。
そんなだから家の中のものも、いつも真っ直ぐに直していた。机の上も、リビングのリモコンも、冷蔵庫の中の物もいつも整頓されていた。
そんなばあちゃんが倒れた時、私は低温やけどを心配し、救急車に乗せ運ばれているときに、カイロを剥がしてあげようとした。
そしたらばあちゃんは
「真っ直ぐに剥がすんだよ」と、かすれた声で伝えてきた。
私は真っ直ぐに丁寧に剥がし、病院へ到着し待ってる間に、トイレの鏡を見て真っ直ぐに自分に貼りつけた。
ばあちゃんは真っ直ぐに救急医の顔を見て説明を聞き安心すると、やっと眠りにつき、翌朝私が病室へ行くと、真っ直ぐに私の目を見て、
「昨日はありがとうね」と言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます