第34話 塀の中の洋菓子店

 近所に有名な洋菓子の支店が出来た!


 昨日のオープンから長蛇の列が出来ており、お菓子に目がない私は今日、開店前から早速並んだ。

 一時間程待ってようやく塀の中へ入った。塀の内側は可愛い兎のイラストが描かれている。


 そこへ兎の姿をした店員が、私たちに声をかけてきた。

「もうすぐ店内にご案内出来ますが、この塀の中で観たことは決して口外しないで下さいね!」

 そう言うと小さくピョンっと跳ねて店内へ戻った。

 

 入り口のドアから中は見えない仕様になっている。そしてようやく扉が開いた。店内は工場を兼ねているらしく広々としていて10人ずつくらいで2列になり奥まで歩いていった。

 そこには沢山の臼が並んでおり、それぞれ2匹の兎がペアになって臼に向かって杵をぺったんぺったん突いている。


「えー、これが日本初出店の臼い恋人です!白いおもちのお菓子でこれを好きな人と食べると多分恋が叶いまーす♡」

 と案内兎が鼻をピコピコと動かした。


 白い恋人じゃないんかーい!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る