第5話 もっちベーション

 文鳥とよく似ている雑貨がB社から発売された。

 見た目も触り心地も文鳥に驚くほどソックリで、もっちもちしているのだ。


 だが本物ではないので、胸ポケットに入れて一緒に出勤したり、お風呂に連れて入ったり、抱き締めて眠ることもできる。

 本当にいつでもどこでも連れていけるので、鬱患者の外出のきっかけとなったり、勉強や仕事に行き詰まってる人たちにも、抜群な効果でやる気を起こさせた。

 そばに置くだけで不思議とモチベーションが上がるのだ‼


 マスコミがこぞってその秘密を暴こうと取材を試みたが、なにで出来ているのかは結局探ることは出来なかった。


「まさかこれの中身が、新生児の肌から採ったiPS細胞を増殖させて作ったものだとは誰も気がつかないだろうね!?」

「ああ、新生児の肌ほどもっちもちで希望に満ちてるものはないからな!」


「ただ、効果が持続するのも5年くらいか?」

「ああ、でもそれだけ持てば、皆買い換えるだろう(笑)」

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