蜃気楼の鵺
伏見七尾
序.
わたくしが最初にぬえを見たのは、五つか六つかの時だったように思います。
その時にね、わたくしはお客様にご本を読んでもらったのです。ええ、今でも覚えております。夏目先生の夢十夜、その第一夜めでございました。
たぶん、それを読み終えた時に、ぬえは生まれ出でたのだと思います。
ぬえとは、なにか。
言葉にするのはむつかしいものでございます。
わたくしもずいぶん長く生きました。
しかし、あれが一体全体なんなのか、未だわかっておりません。
たしかなのはぬえは恐ろしく、美しいものであること。
そして物書きというものは皆、ぬえに取り憑かれているということ。
わたくしがそれを知ったのは、千手法蔵先生の門下に入った頃のことでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます