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「分かった。お前の意思、その強い心を持っておることは分かった。だが、今回ばかりはこの私に任せてもらえぬだろうか? なーに、心配するな、約束は守る」
ニッと笑って見せて、
「先に言っておく、この先、
「…………大きな代償? 他の
ジークフリートが言ったその代償がピンとこなかった竜二は首を傾げる。
確かに神の魔法や天使の魔法、悪魔の魔法などの言葉を聞く限りで凄そうな魔法だと思ってはしまう。だから、それなりの代償があっても仕方がないのかもしれない。
「なら、次、私に会う時までにこの魔導書の中で一つでも覚えていろ。いいな」
「あ、え、うん?」
「それは私が書いた炎帝竜の魔法だ。そして、お前の体にこれを埋め込んでおく」
ジークフリートは竜二に魔導書を渡し、そして、赤色の魔法石を取り出して、心臓の部分へと埋め込んだ。
「それを持っておくが良い。そして、鍛錬を忘れるな。魔法は人の心によって強くなる。いいな!」
ジークフリートは翼を目一杯に広げ、二体の竜に炎帝竜の炎の
二体の竜は空の彼方へと吹っ飛ばされる。そして、炎帝竜ジークフリートは空へと飛んでいく。竜の翼から生み出される風は、至近距離から見ると、魂を持って行かれそうな勢いだった。
そのまま、炎帝竜は自分の放った咆哮の方へと消えていった。
「どうやら、炎帝竜の魔導書は手に入れたって事ね……」
今まで竜二に抱きかかえられていたミラはゆっくりと体を起こし、ボロボロな体で立ち上がった。
「それを手にするって事はあの炎帝竜に認められたって事よ。それにあの魔法石————」
「ミラ、さっき埋め込まれた魔法石の事を知っているのか?」
ミラは竜二の心臓の当たりの右手でそっと当てて、鼓動が動いていることを確認している。
「いいえ、あんな魔法石はみたことないわ。赤色だったから火属性魔法の何かだとは思うのだけれど……こればかりはあの炎帝竜に訊かないかぎり分からないわ」
「それで、これからどうする? 一度、サーシャさんの所に戻るか?」
ミラは小さく頷き、山を下りた。
それから、数日間、炎帝竜の名を聞くことなく、そして、時間は刻々と流れて行った————
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