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 そして、中世ヨーロッパのような列車が目の前に停まった。


 そして、ここから一気に目的地の街に向かうことになっている。経済成長である今の世界よりも全く真逆の世界。


 一つ一つ、その駅で停まり、様々な人たちが乗り降りをしていく。


「……ここ、どんな世界なんだ? 俺のいた世界とは全く違うようなんだが」


「この世界はリバエス。アトラトス国のオリエンという街に向かっているところよ」


「リバエス、それがこの世界の事なのか?」


「そうよ、リバエスは魔法の国なの。そして、ここはアトラトス国の中にあるユーリスの街。オリエンまではあと六つ先の駅にあるわ」


 ミラは竜二の目の前で優しく説明してくれた。


 さっきの駅から発車してから約十五分は経っていた。


 オリエンの街に着いた頃はそれから約二時間後。


 オリエンの地に立った時、周囲を見渡した。極のどかの街であり、人が数人しか住んでいないような寂しい街だった。


 だが、多くの自然に囲まれたとても空気の美味しい街である。ここには魔導士がおらず、炎の魔女は街の奥に住んでいると言われている。


 太陽は真上を昇っていた。そして、オリエン街をまっすぐ歩いていき、森の中へ入っていく。


 近くには爽やかに風が流れ、いい匂いが漂う。木の実を取ろうとしている小動物が、ゆっくりと音を立てずにとろうとしていた。


「兄ちゃんの親友であるサーシャ・ノグワールさんの家は、オリエンの外れの森の中にあるらしいな」


「彼女は炎の魔導士でありながら、自然の中で誰も寄り付かせない場所に住んでいると言われているわ。そして、彼女の住所を誰も知らないと言われていたけど、まさかこんな場所に住んでいたなんて初めて知ったわ」

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