ドラゴン・ファンタスティック
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ
炎帝竜ジークフリート篇 第1章 炎よ永遠に
1-1
七月も下旬の終わりを迎えた頃。日本のとある県の
そして、リモコンをなんでも操作しながらチャンネルを変えていく。
竜二は、特にこれといった特技は何もない。十四歳にして中学三年生、高校入試を控えた大切な時期である。
「————今度は、イギリスに行くことに決めたんだな……」
と訊いたのは、兄の悪友である
兄とは昔からの幼馴染である彼は、アメリカの研究室で錬金術について研究している。だから竜二と妹の
「ああ、あそこは魔法の発祥地だろ? もう一度、確かめに行かなければならない」
竜二の兄、
「……それで誰に会いに行くんだい? あそこは魔法が多すぎて困るからな」
園田海淵は、ほぼ呆れ果てながら言った。
「まあ、あそこの地に行くならば色々と準備をしなければならないが、会いに行くのはいつも三人一緒にいたあいつの所だよ」
「なるほど。あいつか……。お前、何かやらかしたのか?」
「何も……。だが、あいつからこの前、手紙をもらったんだよ。厳重に魔法で封をされていたから解除するのに手間取ったけどな……」
「なんだよ。結構重要なことじゃねぇーか」
だんだん話は深くなってきた。
あいつというのは紫苑と海淵が、魔法学校時代、散々遊び回った少女である。
紫苑は、学生時代ほとんどの時間を魔法に費やしてきた。学校内では好成績を残し、そして、実験や悪ふざけをしながら魔法を学び、そして、今に至る。
「重要なこと? そんなわけないだろ? なんで天才魔導士の俺が……」
「違うだろう! お前の場合、元魔導士だ! 『元』だろ? 今になってはその力もそこまで使えないんだ。そろそろ引退も考えておけよ」
とぼける紫苑に、海淵がまっとうな意見を述べる。
「と言ってもイギリス行きの航空チケットをもらってしまったことだししょうがないだろ? だが、これを機会に足りなかった魔法道具が買える。そこはメリットなんだけどな」
「紫苑、お前はパスポートとか作っているのか?」
「どうだったかな? 覚えてねぇ……」
紫苑は頭を抱える。
「作っていなかっただろ。一年前に有効期限が切れてるよ。俺は更新したけど、兄ちゃんは忘れていたじゃないか」
竜二はソファーに横になりながら言葉を発した。
「そうだった! あの時、忙しかったから後回しにしていたんだった!」
紫苑は素直な感想を口にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます