紫蝶病裁判、真実は何処へ……

木沢 真流

第1話 その裁判の注目は凄まじかった。

 今、とある裁判に日本中の注目が集まっている。


 被告人は祈祷師「黒江貫三郎」。

 紫蝶病しちょうびょうで亡くなった、まだ15歳の麗しき女性「九条千鶴」を見殺しにした罪、刑法第219条の保護責任者遺棄致死罪で起訴された。


 マスコミから「紫蝶病裁判」と呼ばれているそれは、傍聴席希望者が7000人ということからも世間の関心が高いことが窺える。清楚系女優の覚醒剤所持疑惑裁判の傍聴希望が6000人であったことからも、この裁判がどれだけ注目されているかがわかる。


 なぜこの裁判がそこまで注目を集めたのか。


 その前にまず、この聞きなれない「紫蝶病しちょうびょう」のことから話さないといけない。

 原因不明、発症後2時間で死亡するこの恐ろしい病のことを。

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