第三話 2-11
1
「はー、緊張する……」
日曜日。
俺は
普段は立ち寄ることのない超高級住宅街があるベッドタウンの最寄り駅。
何だかその辺を歩いている犬でさえ札束のかたまりのように見えてくる。たぶんあの着ている服、俺のより高いよね……?
って、いかんいかん、まだ
ただでさえ初めての
しかもお母様による観察(下手したら駆除)希望付き。気を張らないで自然体でいろという方が無理な話だよ。
とにかく気持ちを強く持たないと。こっちは一人なんだから、心が折れたら負けだ。
……と思ったら。
「おー、
「え?」
何か、いた。
「おお、
「五分三秒遅刻ですよ。まったく、時は金なりと言うのに」
「まあまあ、いいじゃねぇか別に」
そこにいたのは、見慣れた
「……え、何で、いるの?」
俺の疑問に
「えー、何でって言われても、
「
「『MGO』の周回イベントを休んででも時間を作ろうというものです」
「もちろん二つ返事で来るのを決めたぜ!」
「ふむ、部員の誘いを断るのは部長としてあるまじき行動だからね」
ちなみにその場にいたのは
……ていうか、呼ばれてたのは俺だけじゃなかったんですね。
お世話になったお礼なんて言われたから、ついつい自分だけだと思い込んでいた自分にドロップキックをしたい。まあ、うん、そうですよね。お世話になっている相手なんだから『AMW研究会』のメンバーも呼びますよね……
とはいえ、これから未知の領域に踏み出すにあたって孤立無援じゃないのは少しだけ心強かった。
「それじゃあ早く行こうよー! 楽しみだなー、
いつだって楽しそうな
しかしどうして
「んー、
「え? 招待状だよ。今日のパーティーの。
「えー、そんなのもらってないよー。部活の時に誘われただけでー」
「初めて見ますな」
「それ、本当に招待状なのか?」
「いいなー、
そんなのところで今一瞬言葉に詰まったよね。呪いって言いそうになったよね!
気持ちは分かります。
とはいえ招待状をもらっていたのが自分だけだと知りちょっとだけ
とりあえず地図とスマホのマップとを照らし合わせて、行き先を確認する。
「ん、あれ……?」
ところが指し示されている地点には大きな森のようなものが表示されているだけである。何これ?
「ん、どしたのー?」
「や、この住所って、ここで合ってるよね?」
「んー、そうだねー。間違ってないと思うよー」
「なんか……黒い森みたいなのしかないんだけど」
スマホのマップには、住宅街の中にぽっかりと穴が開くように空白部分が映し出されていた。どういうこと? こんなの皇居とか
だけどその答えは、すぐに分かった。
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