第一話 10-14
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「……うん……うん……そうだよ。今日から月曜日まで。だいじょぶだよ。信頼できる人だから
そう言って通話を終えると、
「無事に許可はとれたよ。これで月曜日の朝までだいじょうぶ」
「そ、そっか……」
まさか……
常日頃から見られたくないもの(ちょっと肌色成分多めの雑誌とか)は片付けておく習慣があってよかった。それに幸いなことにというか何というか、うちの両親は仕事が忙しくてめったに帰ってこない。ゆえに余計な勘繰りは受けなくてすむ。
ただ、一点だけ
と、そうこうしているうちに、家に着いてしまった。
築十五年二階建てのどこにでもあるような一軒家が、俺たちの目の前にある。
「ここがせんせーの家なの?」
「あ、うん」
興味深そうに
「ただいまー」
奥に向かって呼びかけると、すぐにぱたぱたという小さな足音が近づいてきた。
「おにーちゃん、おかえりなさい!」
やって来たのは妹の
「……って、あれ、おにーちゃん、そっちの人は……?」
「え……う、うそっ……お、おにーちゃんが、
「……そんな、飼い猫がアブラゼミを
「……しかもこんなきれいな人を……きょ、きょーはく? そんたく?」
「違うよ!?」
兄を何だと思っているんだ、この妹は……
心の底からため息を
「仲、いいんですね」
「え、ああ、まあ……」
「はじめまして。私は
「あ、そ、そーなんですね、ほっ……」
あからさまに安心したような顔をするな、妹よ。どうしておにーちゃんのことを信じてくれないのかな……
「あ、わたしは
「いいえ、こちらこそよろしくお願いしますね」
自己紹介をし合ってお互いに頭を下げ合う。ちなみにタイミングがぴったりすぎて、おでこをぶつけ合って「あうっ……」「い、いたたー……」と声を上げていた。
あ、何かこの二人、相性良さそう……
「それじゃあ俺たちは部屋に行くから、何かあったら呼んでな」
「あ、うん」
「おにーちゃん」
「ん?」
「ふしょうじは、おこしちゃだめだよ?」
「……」
妹(小四)にここまで心配される俺って一体……
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