第205話 倉庫に眠るお宝があったらしい。

 昼食を挟んで、午後も健康診断だ。


 普段は使われていない寮の210号室で、看護師のお姉さんに身長と体重を計測してもらった。


 僕の身長は168センチで、体重は54キロ。

 去年の春と比べて、身長は8センチ伸び、体重は6キロほど増えていた。


 続いて、ベッドで横になり、心電図検査を受ける。


 体のあちこちにペタペタと吸盤をられた際に、僕の欲棒が勝手に起き上がってしまい、看護師のお姉さんにクスクスと笑われてしまった。


 欲求不満だと思われても、それは事実なので仕方がないとして、それよりも検査の結果が異常な数値になってしまわないか、少し心配だ。


 最後に、寮の裏口から渡り廊下へ出て、駐車場に停車しているレントゲン車で、胸部X線検査を受けた。


 こちらの検査は、特に何事もなく終了したが、個人的には、側面から撮影された天ノ川さんの胸部が、X線写真で、どのように写るのか、かなり興味がある。


 機会があれば、見せてもらいたいものだ。






 健康診断の後は特に予定も無かったので、僕は校舎内の売店へ向かう事にした。

 商品の発注作業さえ済ませてしまえば、今日の午後は、全て自由時間だ。


 売店には、まだ管理部の後輩達が誰も来ていなかったので、売り場を少し整えてから、バックルームにこもって発注作業を開始する。


 今日は、妊娠中の先輩方を除いて、ほとんどの生徒が「朝食抜き」だったので、朝食を抜いた分、いつもより、お菓子が売れているようだ。


 1人で発注作業をしながら、ときどき防犯カメラのモニターを見て、誰か来ないかどうかを確認する。普段は賑やかな部室も、後輩達がいないとかなり寂しい。


 しばらくして、ジャージ姿の小柄な子が、防犯カメラのモニターに映った。


 顔がよく見えないので誰だか分からないが、おそらく1年生か2年生。

 売り場をキョロキョロと見回しているので、何かを探しているのかもしれない。


 ここは売店の店員として、迷える後輩に声を掛けてあげるべきだろう。


 僕は「管理部」と書かれた腕章を着けてから、その小柄なお客様に声を掛ける。

 この腕章は、接客担当者である事を示す為のものだ。 (第91話参照)


「いらっしゃいませ。何か、お探しですか?」

「甘井さん、丁度良かった。アレが、どこに置いてあるのか、よく分からなくて」


 振り向いた小柄な子は、1年生でも2年生でも無く、長内おさない先生だった。

 生徒と同じデザインのジャージが良く似合っていて、完全に同化している。


「あっ、もしかしてコンドームの事ですか? この売店には置いていませんよ」


 昨日、長内先生と「次の土曜日にコンドームの使い方を説明する」という約束をし、その時に使うコンドームは、先生が「自分で用意する」とおっしゃっていた。


 しかし、考えてみたら、先生も寮にお住まいなので、平日の買い物は、この売店でするしかない。


「そうなの? コンビニには売っているって、6年生の子から聞いたんだけど」


「ここで販売していないのは『需要が無いから』だと思います。コンドームって、普通は男性が用意するものですし」


 それに、お嬢様学校の売店でコンドームが売られていたら、僕としては、かなり残念な気がする。


「それなら、コンドームはどこで用意したらいいの?」

「コンドームでしたら、僕が持っていますから、それを使いましょう」


 101号室の、僕の机の引き出しには、現在コンドームが25個入っている。


 ネネコさんのお父様から頂いたものが11個(クリスマスに1個消費済み)と、ミハルお姉さまから頂いたものが2個。(第109話、122話、188話参照)


 そして、冬休み中に僕自身が、こっそりと追加購入したものが12個ある。

 これを長内先生の為に使うのなら、きっとネネコさんも許してくれるだろう。


「それはダメよ。もし足りなくなって、ネコちゃんが妊娠したら困るでしょ?」


「いや、足りなくなったとしても、僕は生で『仲良し』したりはしませんから」


「それでもダメよ。私のせいで回数が減っちゃったら、ネコちゃんに悪いもの」


 長内先生は、教え子を大切にする素晴らしい先生だが、生徒達とは友達感覚なのに、変なところで生真面目な気がする。


「そうですか……それでしたら、僕が今から発注しておきますから、先生は入荷後に購入して下さい。今から発注すれば、明後日の夕方には届くはずです」


「そんなことが出来るの?」


「はい。商品の発注は管理部の先輩から任されていますし、コンドームは普段取り扱っていないだけで、商品台帳には載っていたはずですから」


「よかった。なら、それでお願いします」

「ごく普通のコンドームを1箱でよろしいですか?」

「はい。私は、よく分からないので、甘井さんにお任せします」

「ご注文、ありがとうございます。管理部の甘井が承りました」




 長内先生からの注文を受け、追加で発注作業を開始する。

 普段、取り扱っていない商品を発注するのは、なかなか面白いものだ。


 商品台帳には何種類かのコンドームがあり、なぜか全て12個入り。

 違いは「薄さ」だけのようなので、ごく普通のものを1箱、発注しておいた。


 うわさに聞いた「イチゴ味のコンドーム」は、残念ながら商品台帳に無く、当店では取り扱えないようである。






「ただいま」

「甘井さん、おかえりなさい」


 コンドーム以外の商品の発注も終えてから101号室に戻ると、天ノ川さんが、体操着姿で出迎えてくれた。下はジャージのままで、上だけ着替えたらしい。


 ネネコさんとポロリちゃんは、まだ部屋に戻っていないようだ。


「天ノ川さんが部屋で体操着だなんて珍しいですね。今日は何かあるんですか?」


「実は、3階の倉庫から、この部屋に運びたいものがあるのですけれど、1人では運べませんので、今から力を貸して頂きたいのですが、よろしいですか?」


「構いませんよ。天ノ川さんのお役に立てるのでしたら、喜んで手伝います」


 天ノ川さんから頼りにされるのは、オトコとして素直に嬉しいし、どんなものを運ぶにせよ、日頃からお世話になっている天ノ川さんへの恩返しになるだろう。


「ありがとうございます。では、310号室まで、ご同行願います」


 2人で101号室を出て、ロビー側の階段を3階まで上る。


 310号室は、寮の倉庫として使われている部屋らしく、予備のベッドや布団、テーブルなどが収納されている。


「運びたいものは、こちらです。とても重いので、お気を付け下さい」


 輸送の協力を依頼されたものは、大きめの椅子いすだった。


 椅子と言っても背もたれは無く、自転車のサドルに近いが、自転車のサドルと比べると、かなり大きく、2人くらいなら縦に並んで一緒に座れそうである。


「これは、確かに重いですね。落とすと危ないですから、慎重に運びましょう」




 東側の階段をゆっくりと下りてから、長い廊下を通って101号室へ到着。

 荷物を1度置いてドアを開け、ストッパーで固定してから、部屋に運び込む。


「甘井さん、このマットの上にお願いします」

「この辺りですね、了解しました。――では、下ろします」


「お疲れ様です。ご協力ありがとうございます」

「お疲れ様です。お役に立てて良かったです。ところで、これ、何ですか?」


「ふふふ……、これは『乗馬マシン』です」

「もしかして、馬術部の人達が練習に使うマシン――ですか?」


 この学園に、馬術部があったという話は聞いたことがないが、お嬢様学校なら、あったとしてもおかしくはない気がする。


「いえ、これは、私のお姉さまのお姉さまが、通販で買ったものだそうです」


「天ノ川さんのお姉さまのお姉さまですか。今から4年以上前って事ですね?」

「はい。去年、お姉さまから譲り受けたのですが、運ぶのが大変でしたので」


「それで、倉庫に入れっぱなしだったんですね」


「最近は『4年生太り』のせいか、『宇宙との交信』が途絶えがちでしたので、何とかしようと思いまして……ちゃんと動くかどうか、早速試してみますね」


 天ノ川さんは、電源ケーブルをコンセントに繋ぎ、椅子に座ってから、スイッチを入れる。すると、天ノ川さんのお尻が、ゆっくりと前後に揺れ始めた。


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


「ふふふ……、これなら、まだ使えそうですね」


 おおっ! これはすごい。確かに、天ノ川さんが、馬に乗っているようだ。


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


 体操着の下にはスポーツブラを着用しているようで、おっぱいの揺れは制御されており、どちらかというと、前後するお尻の動きの方が、僕の股間こかんに響く。


「もっと、速くもできますよ」


 天ノ川さんが、椅子に付いているボタンを押すと、スピードが速くなった。


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


 前後するお尻の動きが激しくなり、それに伴って、おっぱいも元気よく揺れる。


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


 これは、たまらない。見ているだけで、僕の股間が暴発してしまいそうだ。


「はぁ……はぁ……、結構、気持ちがいいですよ。甘井さんもいかがですか?」


 天ノ川さんはマシンを止め、椅子から下りて、僕に場所を譲ってくれた。


「僕が乗ってもいいんですか? それでは、遠慮なく」


 マシンにまたがり、スイッチを入れてみる。


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


「これは、結構楽しいですね」


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


「ふふふ……、甘井さんも、ご自由に使って下さって結構ですよ」




「ただいまぁ!」


 この聞き慣れたかわいい声は――ポロリちゃんが帰ってきたようだ。 


「おかえり」

「えへへ、お兄ちゃんが、お馬さんに乗っているみたいなの」


鬼灯ほおずきさんも、いかがですか?」

「はい、ポロリちゃん、交代ね」


 マシンの動きを止め、今度は、僕がポロリちゃんに場所を譲る。


「ポロリは1人だとおっかないから、お兄ちゃんと一緒でもいい?」

「天ノ川さん、2人乗りは可能なんですか?」

「2人合わせて100キロ以内でしたら、問題ありませんよ」

「それなら、問題はなさそうだね」


 ポロリちゃんの推定体重は、30キロくらい。

 僕の体重と合わせても、せいぜい、85キロってところだ。


「あのね、お兄ちゃんが前で、ポロリが後ろなの」

「了解。落ちないように、背中にしっかりとつかまっててね」


 ポロリちゃんは、僕の背中に抱きつくように、しっかりと掴まる。

 かわいい妹の胸は、運動会の時と比べて、確実に成長しているようだ。


「じゃ、スイッチ入れます――」


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


「えへへ、本物のお馬さんみたい」


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


「もう少し速くしてみる?」


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


「ううん、ポロリは、このくらいがいいと思うの」


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


「そうだね。このくらいのほうが、安全だね」




「ただいま――あれ? ミチノリ先輩、ロリと何やってんの?」


 ポロリちゃんと乗馬の雰囲気を楽しんでいると、ネネコさんが帰ってきた。


「ふふふ……『乗馬マシン』ですよ。ネネコさんもいかがですか?」


「お兄ちゃん、ネコちゃんと交代するね。――はい、ネコちゃん、どうぞ」 

「いいの? ――じゃあ、ボクが前で、ミチノリ先輩が後ろね」


 今度は、ネネコさんが僕の前に座り、僕がネネコさんの薄い体に、後ろから抱きつく。ネネコさんも体重は軽いので、重量オーバーの心配はないだろう。


「ここを押せばいいんでしょ? ――はい、スタートね」


 ――ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ。


「ちょっと遅くね? ――あっ、こっちのボタンを押せばいいのか」


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


 さすが、ネネコさん。最初から容赦ない。

 僕は振り落とされないように、ネネコさんの体に、ピッタリとしがみつく。


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


 2人きりの時は、もっと恥ずかしい事も、いろいろと経験済みだが、天ノ川さんとポロリちゃんが見ている前だと、これは、かなり恥ずかしい。


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


「ネネコさん、このままだと、ちょっとマズいんだけど……」


 何が、どうマズいのかは、皆さんのご想像にお任せします。


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


「もうちょっとガマンしてよ。お姉さまとロリが見てるんだから」

「そんな事言われても、僕、今日は朝からいろいろあってさ……」


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


「どうせ、朝からエロい事ばっかり考えてたんでしょ? 自業自得じゃん!」

「それは申し訳ないけど、僕が1番好きな人は、ネネコさんだから……」


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


「じゃあ、ガマンしなくていいから、ここで証拠を見せてよ」

「いや、それは許して! ――ストップ! もう、マズいって!」


 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。

 ――ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。


「これ以上は、ホントにマズいんだって! ――あっ!」


 ネネコさんが僕の異変に気付き、マシンを止めてくれたが、もう手遅れだ。

 何が、どうマズかったのかは、おそらく、皆さんのご想像通りです。


「マジ? お姉さまとロリの前で、証拠を見せてくれるとは思わなかったよ」

「……ごめん、ちょっと着替えさせて」


「ふふふ……、甘井さんとネネコさんは、本当に仲良しですね」

「えへへ、お兄ちゃんのパンツは、ポロリが、洗ってあげるの」


 賢者モードになった僕は、今日1日を振り返り、深く反省した。

 生娘寮の皆さん、寮の風紀を乱してしまって、ごめんなさい。

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