第壱章 主従
第2話主との出会い
「お前も、忍使いの家に産まれたのだから、
「わかりもうした!」
幼い声が大きな返事をして、その顔は忍と聴いて輝いていた。
返事の後に直ぐ庭に降りる。
忍、忍と周囲を見渡す。
しかし、そうそう忍が姿を見せることはない。
隠れて出てこぬを、かくれんぼのようだと思った。
「忍
呼んで出てくるのであれば、早い話であるが…。
どの忍も、給料に含まれない面倒事は
走り回って探しても、当然見つかりはしない。
そうだった、この数秒後。
草木を掻き分け見えたのは、真っ黒な影を
その忍は他と違い、
その赤い目をした鳥を撫で、
逃げられては困るから、ゆるり忍び足で近付いた。
一方この忍は勿論それに気付いていた。
それでも、逃げも隠れもしようとは思わなかった。
それよりも、仕事で使う動物との触れ合いが大事だと、声を使わない目と目、そして呼吸の会話を続けた。
そうでなければ、とっくのとおに仕事の
忍の後ろから勢いよく抱き付く何かによって、その鳥は翼を広げ飛び去ってしまった。
「何をなされているのです?」
冷たい声が、振り返る。
怒気も無ければ呆れの風もない。
そのどちらさえも伺わず
「俺の忍になってくれ!」
忍は顔をしかめたままに、今にも舌打ちをしそうな雰囲気で首を壊れた日本人形のように傾けた。
「離して頂けます?」
「嫌だ!離したら逃げるのだろう?」
相手の言葉の無視をお互い様に、次はこれだ。
わかっているように見えただけ。
逃げない忍が他に何処にいるというのか。
「俺の忍になってくれ!!」
その小さな手を丁寧にほどくと目線を合わせるが為に屈んだ。
「(珍しいお
逃げないのだと気付いた
そして、口をもう一度開こうとしたが忍がそれを
「何故、
ならば、断る故もない。
「お前だけ、逃げぬからな!」
故は鳥、まぁこの
その溜め息に首を傾げた。
「逃げぬというのなら、他の忍としても
これで
「
「それは何故?」
「お前は怖いが強そうだ!それに、鳥とも
それには
見えたままのことを大きな声で伝えただけのつもりであったのだろうが。
「(まぁ、仕事を断る故はない。)」
見当たらぬ答えを求めようとはせず、もう一度溜め息をついて顔をしかめる。
そして、その幼い目を見ながらも、頭を横切る勘を隅に追いやった。
「わかりました。では、参りましょうか。」
小さな手をとって、歩く速度を合わせながら、並んで屋敷に向かった。
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