3

冒険者ギルドに着いたレイナはまっすぐ受付に向かう。

「ちょっと、教えてくれる?」

「はい、レイナさん、どうされました?」

アンナの件の時の人とは違う受付嬢だったが、レイナの事はわかっているようだ。

「この街周辺の集落、街、国の情勢の情報はある?」

「少々お待ちください。」

受付嬢は手元にある冊子をめくり、知りたい情報を探す。

「こちらになりますね。」

開いた冊子を指さし、レイナに見せる。

レイナはその情報をまじまじと眺める。

ひとしきり確認し終えたレイナ、受付嬢に冊子の一部を指さして尋ねる。

「えっと・・・この部分、いつの情報?」

「この部分は、3か月前の更新になってますね。」

レイナの顔が少し険しくなる。

「これが本当なら、ちょっとマズイかも・・・。」

そう呟くレイナ。

「アンナと話をしたいんだけど、また映像通信をお願いできる?」

「はい。分かりました。少々お待ちください。」

受付嬢が後ろを向き、端末を操作し始める。その間に、レイナはカウンターに備え付けの書類とペンを手に取った。書類には、依頼申請書と書いてある。

そして、慣れた手つきで書類に必要事項を埋めていく。

粗方書き終わった所で、受付嬢がレイナを呼ぶ。そして、端末をレイナに手渡した。

「ありがとう。」

レイナはほほ笑んでお礼を言うと、受付嬢も笑顔を返した。

「さて、アンナ、聞こえてる?」

先ほどの笑顔から一変、真面目な顔をするレイナ。

「は、はい。レイナさん、何でしょうか?」

すっかり怯えているアンナに、レイナが苦笑いを浮かべる。

「そんなに怯えなくてもいいのに。」

「で、でも・・・。さっきは失礼しまして。」

「まあ、今はそんな事を言ってる場合じゃないの。アンナ、あなたにもお願いしたいことがあるのよ。」

「お願い・・・ですか?」

お願いと言う言葉に、アンナは首をかしげる。

「アンナが私に寄越したこの依頼、かなり深い問題になりそうなのよ。」

「え?ただの野盗討伐じゃないのですか?」

レイナの言葉は意外だったのか、思わずアンナは聞き返す。

「依頼自体はね。でも、その裏が気になるのよ。」

「まさか、レイナさんのお願いって・・・。」

「あなたの本当のお仕事。特殊な依頼としてサポートしてほしいと言う事よ。」

レイナの言葉に、怯え顔だったアンナが一瞬で仕事の表情になる。

「分かりました。今まで分かってることを教えてもらえますか?」

レイナは、アンナにこれまでの経緯を話す。

「急に増えた野盗の被害と、野盗に従う黒きモノらしきもの、そして、依頼時期と街周辺国家の情勢変動の奇妙な被りですか。」

「そうよ。野盗だけなら、何の問題もないのだけれど、こうも重なるとね。」

「状況は把握しました。レイナさん、出発は何時になりますか?」

「明日になるわね、こちらもちょっと準備しておかないと。」

「了解しました。こちらは準備しておきますので、依頼の方、よろしくお願いします。」

「こちらこそ、頼んだわよ。」

そう言って、レイナは通信を切る。そして、端末を受付嬢に返却するときに、先ほど記入した書類も一緒に渡す。

「依頼をお願いしたいんだけど、いいかな?冒険者指定依頼で。」

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