未熟な霊媒師

勝利だギューちゃん

第1話 不思議な少女

「あなた、悪霊に取りつかれていますよ」

「えっ」

町を歩いていたら、後から声をかけられた。


風貌からすると、女子高生か?

(悪質な商売か・・・でも、無視しても、付きまとうな)


「僕、悪霊とはお友達なんです」

そう言って、笑いながら去ろうとした。

すると女子高生が、僕の手首を掴む。


「ふざけないでください。真面目な話なんです」

「どう、真面目なんですか?そもそも、君は何者ですか?」

その瞬間、少女は僕の手首を話して、挨拶をした。


「私は、青野惟子(あおのいこ)。霊媒師です」

「君みたいな、若い子が霊媒師なの?」

「ええ。霊媒師に歳は関係ありませんので」

ますます怪しいが、つっこまないほうが無難だろう。


「で、僕の取りついている悪霊とは何ですか?」

「失礼ですが、あなたは彼女がいませんね」

「悪かったな」

「しかも、年齢=」

「何が言いたい」

惟子と名乗る少女は続けた。


「あなたに取りついている悪霊は、生前、男をとっかえひっかえして、楽しんでいたものです」

「プレイガールというわけか・・・」

「そうです」

「その、プレイガールがなんで僕みたいな、冴えない男に?」

「だからこそです」

「えっ?」

「冴えない男は、抵抗できない。なので、格好の餌食でしょう」

「ターゲットというわけか・・・」

「そうです」

ここで疑問が残る。


「なら、そのプレイガールはなぜ死んだ?」

「浮気を繰り返していました。でも、因果応報なんですね。

ある時、逆に男に裏切られました。しかも、つるんで・・・」

「ええ」

「それで自殺したんです」

「僕には関係ないじゃないですか?」

「それがあるんです」

「えっ」

わけがわからない。

僕には、女性に恨まれるようなことはしていない。

むしろ、いじめにあっていた。


「実はその女性は、あなたの生き別れの姉です」

「姉?」

初耳だ。


「そして、私はそのお姉さんのお友達でした」

「お友達?」

「なので、私が責任をもって除礼します」

「どうするの」

「それは言えません。でも明日には解決しています」

それだけ言うと去って行った。


なんだったんだ?冷やかしか?ドッキリか?

まあ、詐欺被害に会わなかっただけでも、良しとするか・・・


そして帰宅した。

両親も祖父母もすでに他界しているので、姉の真相はわからない。


翌朝、目が覚めると、部屋一面が血でそまり、塩が盛りつけてあった。

「お清めか・・・」


そして外へでると、庭に昨日の少女が倒れていた。

すぐに駆け寄ると、既に虫の息だった。


あわてて救急車を呼ぼうとするが、惟子に腕を握られた。

「・・・ごめんなさい・・・でも・・・終わりました・・・」

そして息を引き取った。


持ち物から、彼女の連絡先があったので、電話をかけてみた。

すると、一言こう言われた。


「娘のために、ありがとうございます」と・・・

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