第59話 再び入院生活
目が覚めたら白いタイル張りの部屋にいた。
ベッドに寝かされて、腕には点滴、肩から胸にかけて包帯がきつく巻かれている。
すべておれの妄想だったのだろうか。おれは仕事帰りに事故でもあって、病院で長い夢を見ていたのか。そうだ。そうに決まっている。GoogleSpreadsheetsがExcel職人の魂で動いているだなんてそんな馬鹿なことあるわけがない。
「いやー、大変でしたね」
そういう希望的観測を、ガチャリとドアを開けて入ってきたイノウエが打ち砕いた。いや、正直言って二度目なので期待もしていなかったのだけれども。
「3日も寝てたんですよー」
「えっと、なにがあったんですか。D関数を処理してたはずだけど、そのあとなにかがあったような…」
「DPRODUCTに襲われて倒れたんです。血まみれのタカハシさんを連れかえった私に感謝してください」
「ありがとうございます。ところでD…PRODUCTって?内容はわかりますけどそんな凝った関数使う人いるんですか?」
「わたしも正直はじめて見ました。いや正確には姿を消してたし、わたしは倒れたタカハシさんを連れてすぐに帰らされましたんで見えなかったんですけど」
「え?じゃあDPRODUCTはサイトウさんがひとりで」
「はい、なんかそのあともたくさん強力な関数がうじゃうじゃでてきてたいへんだったらしいですよ。昨日やっと帰ってきてました」
2日も戦い続けてたのか。やはり同じworkerとは思えない。
「それじゃ、ゆっくり休んでくださいね。復帰したらまたクエストです」
「はい、おつかれさまです」
それからまた3日間、おれはworker生活二度目の入院生活を満喫した。久々に転生したらスライムだった件をGoogle Playでみると、国の主になって巨乳美魔人の胸に抱かれていた。おれはDPRODUCTに胸を斬られて入院しているというのに。
ちなみに例の恐竜のゲームは、この入院期間注奇跡的にハイスコア38122点を出すことができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます