第51話 SORT/SORTNはまったく別の関数です
「SORTとSORTNはややこしいので先にUNIQUEを解説します。というかほとんど言うことはなくて、指定した範囲の重複した行を削除して表示するだけです」
イノウエはホワイトボードに構文を書いていく。
=UNIQUE(範囲)
「もしかして範囲の行を重複する値を排除して表示してくれる関数ですか?」
「まったくそのとおりです」
「Excelだと固有な値や名前のリストを出すためだけに、関数じゃないフィルタの機能を使ったりしていましたけど、これだと元のデータが更新されたときもそのまま使えますね」
これは非常に便利だ。Excelだとユニークな値を取り出す独自の作法が蔓延していた。おれはフィルタ機能で重複を排除する派だったが、ある人はユニークにしたい値をピボットテーブルで行に突っ込んでコピペしていた。この関数があればまちがいなくこれを使うのが正解だろう。
「これ以上説明は不要そうですね。じゃあSORTとSORTNの話をしましょう。まずはじめに認識しておいていただきたいのですが、この2つの関数は似てはいますがまったく別の関数です」
「はい?」
「それぞれの構文はこんな感じなんですが」
=SORT(範囲, 並べ替える列, 昇順, [並べ替える列2, 昇順2, ...])
=SORTN(範囲, [n], [同等項目の表示モード], [並べ替え基準列1, 昇順1], ...)
「え?そっくりじゃないですか。名前でわかりますけど、範囲を
「このnは並び替えをおこなって、上からn行だけを表示するという意味です。同等項目の表示モードはその際のオプションです」
0: 範囲内を並び替えて最初の n 行(n 行に満たない場合はすべての行)を表示します。
1: 最初の n 行(n 行に満たない場合はすべての行)を表示し、さらに n 行目と同じ値の行があれば追加で表示します。
2: 重複する行を削除したうえで、最初の n 行(n 行に満たない場合はすべての行)を表示します。
3: 最初の一意の n 行(n 行に満たない場合はすべての行)と、それぞれの重複行を表示します。
なんだこれ。意味はわからなくはないけど、ややこしすぎないか。おれはホワイトボードを睨んで沈黙した。
「ややこしいですよね…。0と1ぐらいは感覚としてそういうオプションがあることはわかるのですが、2だともはや別の関数みたいですよね。そこまでするならUNIQUEと組み合わせればモード0で済むと思いますし、モード3はどういうタイミングで使うんだろう、ないことはないと思うのですが…。いや!ともかくこれはおぼえてもらわないと処理できないのでおぼえてください!」
「わかりました。ぜんぜん違うって言ってたのはこのことだったんですね」
「いえ、そうじゃないんです。並べ替え列の指定の方が問題なんです」
なにが違うというのだろう。難しい要素はなにもないように見える。
「例えばB1:E20をB列の値でソートしたいとき、SORT/SORTNでそれぞれこのように書きます」
=SORT(B1:E20, 2, TRUE)
=SORTN(B1:E20, 20, 0, B1:B20, TRUE)
ん?どういうことだ?なにが起こっているのかさっぱりわからない。
「混乱しますよね。仕方ないです」
イノウエは注意深く言った。
「SORTは列を列番号、つまりA列なら1、B列なら2という形で指定します。一方でSORTNの方は並び替える範囲自体で指定します。ちなみに範囲でかけるからってB1:C20みたいに書けばB、Cの順でそーとしてくれるなんてことはないです。TRUE/FALSEだけは共通で、昇順/降順です」
「なんでこんなに似ている関数でそんな別々の指定方法が…」
「わたしに聞かれても困ります。とにかくこの2つはまったく別の関数なんです」
なんてことだ。SUMIFとSUMIFSよりもひどいかもしれない。
「説明は済んだようだな。ついたぞ」
クエストのシートに到着し、サイトウは車を止めた。
※今回の関数
UNIQUE https://support.google.com/docs/answer/3093198
SORT https://support.google.com/docs/answer/3093150
SORTN https://support.google.com/docs/answer/7354624
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