第23話 SPLIT関数 基本編

 扉を開けると愛くるしいスライムがいた。いかにも異世界ファンタジーっぽいやつに出会うのははじめてだ。


「あれがSPLIT関数です」


「ああ、例のやつですね」


 SPLIT関数はぷるぷると揺れながら愛想を振りまいている。


「基本の構文は簡単です」


 イノウエは壁に書きながら説明しはじめた。


=SPLIT(テキスト, 区切り文字)


「これでテキスト内にある区切り文字で分割します。たとえばこの前タカハシさんが説明していた広告の例で説明しましょう」


=SPLIT("女性モデル1_時給コピー3_緑", "_")


「これを実行すると、元のテキストが『女性モデル1』、『時給コピー3』、『緑』の3つに分割されるんです」


「分割?どういうことですか?元々アンダースコアで分割されてるんじゃないんですか?」


「いや、だから分割されるんですよ」


「関数の結果はセル内に返るのだから、分割するっていったってカンマとかがつくってことですか?」


「ああ、そういえばまだ見たことなかったんでしたね、GOOGLE関数」


「へ?」


「1匹処理してみせますね。そうすればわかっていただけると思います」


 イノウエがSPLIT関数に近づいていく。


「逃げないでねー、スプリットちゃん、よーしいい子だ。スプリット!!」


 いつもなら関数がセルに吸い込まれて消えるはずだが、なんとスライムが3つに分裂して増えた。


「これがSPLIT関数です。関数の結果が複数のセルに作用するのです。さっきの広告の例が書かれているのがA1セルだったとしたら、A1セルに『女性モデル1』、B1セルに『時給コピー3』、C1セルに『緑』が書かれるの」


「え、そんな。関数ってセル内に結果を返却するものなんじゃ」


「そんなものは誰かが勝手に作ったシステム上のの制約ですよ。もちろん展開先のセルが埋まっていたらエラーになっちゃうけど、そうじゃなかったらだめな理由なんてないです」


 驚いた、いやビビった。関数が書いてあるセル以外に返り値を返せるなんて、理解ができない。常識が崩壊した。関数というか、Excelにおける数式はセル内に結果を返すものとだけ思っていた。しかしそんなものはExcelの制約であって表計算自体にそういう制約がある必要はなかった。実際Googleはそれを実現していた。


「すごい…ですね、SPLIT。それで、あの分裂したやつはほっといていいんですか?」


「あ!忘れてました!!」


 イノウエは慌てて3つに分かれたスライムに駆け寄りそれぞれに「スプリット」といいながら手をかざしていった。どうやら展開された数だけ処理して回らないといけないらしい。ユーザーさんとしては楽そうだが、おれたちworkerにとっては疲れる相手のようだ。


 ちょうどよくもう一体のSPLITが現れた。


「構文は簡単そうなので処理してみます。スプリット!」




 SPLIT関数はなぜか分裂せず、でかい犬に変形した。



 ※今回の関数

 SPLIT https://support.google.com/docs/answer/3094136


 **************


 SPLIT関数、実は僕がExcelからSpreadsheet派に鞍替えするきっかけになった関数でした。

 使ったことない方は実感が持ちにくいかと思いますが、みなさんもぜひお手元のSpreadsheetsにSPLIT関数書いて試してみてください。

 https://www.minemura-coffee.com/entry/2016/06/05/230248

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