転生したらSpreadsheetだった件
ミネムラコーヒー
第1章
第1話 Excel仕事の最中に転生したっぽい
目が覚めたら白いタイル張りの部屋にいた。
どうなってるんだ。おぼえている限りでは23時過ぎたぐらいに明日配信のクリエイティブの入稿は終えて、先日やめた同僚の引き継ぎ案件のレポートをチェックしたらむちゃくちゃ。罫線は引いてないし多重参照ばっか。あげくページによっては集計値がべた書きしてある。「こんなブラックな仕事、私にはできません」とか言ってやがったがおれに言わせれば残業しないといけないのはExcelのスキルが低いからだ。
おれは違う。社内ではExcel職人として頼られている。頼られているがゆえに日中はどいつもこいつもわからないことがあったらググりもせずにおれのところにやってくる。つまりExcelが得意でも残業をしないといけないことになる。
いやExcelのことはいい。ここはどこなんだ。
頭を抱えていたらおっさんが部屋に入ってきた。上下緑色で白のでかい格子柄の全身タイツを着ている。きめえ。そのおっさんが緑色の布を投げつけてきて言う。
「着替えろ、お前が死ぬまで着るスーツだ」
MIBでウィル・スミスがスーツを渡されたときのセリフじゃねえか。展開的に異世界転生かと思っていたが死んでないのか。ならそんなもの着る気はない。
「いやです。ここから出してください。仕事が残っていて戻らないといけないんです」
「残念だが戻ることも出ることもできない。お前は死んだんだ」
「えっ!さっき死ぬまでって・・・」
「映画のセリフだよ。Men in Black 見てないのか?」
おっさんとは趣味が合いそうだ。どうやら異世界転生だったらしい。おれは諦めておっさんと同じ緑色の服を着た。
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「おめえさん、業種はなんだ?」
「え?戦士とか魔法使いとかそいういうのですか?この世界にはいま来たばかりで特にないですけど」
「は?何いってやがる?ゲームのやりすぎで死んだのか?これだから若いやつは困る。ここにくるやつは全員元々会社員のはずだ。ちなみにおれは建設会社で総務をやっていた」
異世界転生じゃなかったらしい。天国か地獄か死後の世界的なやつだろうけど、ポジティブに天国だということにしておこう。会社員のための天国か、おっさん建設会社の総務って渋いな。
「ああ、なるほど。よくわからないけどとにかく何を答えたらいいかわかりました。インターネット広告の会社でちょっと説明が難しいんですけど裏方みたいなことをやっていました」
「おお、トレーディングデスクな、その手のやつは総じて筋がいい
。期待してるぜ」
なんだこのおっさん。トレーディングデスクなんて親戚にも同級生にも絶対に通じたことないのになぜ知ってるんだ。
「おっと、説明をもったいつけちまったな。ここはGoogleSpreadsheetsの中、おれたちはそのworkerだ」
やばい、訳わからなくて死にそう。天国でも異世界でもなくてGoogleSpreadsheetsの中ってどういうことなんだ。
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この小説はSpreadsheets/Excel Advent Calendar 2018のために書かれました。
明日はみくた(@s092444)さんです。関数初心者がとあるニコ生主の配信履歴表を作ってみた を書くと思います、とのことなのでちゃんとした技術記事だと思います。
https://adventar.org/calendars/3080
この小説の続きはこのままCalendarの登録が増えないと12/3に公開されることになりますが、だれかに技術記事を書いてほしいと切に願っています。
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