LOVING MART‼︎

ビスケ

第1話:ストーカー被害!!

(午後6:00)


『いらっしゃいませ〜〜』


 俺の名前は三上智、17歳。親父がコンビニの店長をしていて親父が出勤できないときにこうして代理の店長として働きにきている。勿論、高校にも通っていて代理に入る時間は限られているがな。



 そんなことを考え目の前の商品棚を眺めながら ぼーっと しているとレジの前に紺色の制服を着た少女が トントントン!! と音をたて、細く綺麗な美脚で歩いてきた。そして俺は笑顔で『ありがとうございます!!』と一声掛ける。


 俺はレジで ピ!! ってするやつを手に持つ。

『105円が一点、330円が一点…………合計で950円になります!!』


 こうして、俺は何気ない日常が続いていた…………コイツが来るまではな!!!!



 黒髪ミディアムパーマの彼女は自分の右頬に人差し指を当て白昼堂々と笑顔で話す。

『すみません!! ほっぺにキスを1ついただけないでしょうか? 』


 そう!! この、変態ストーカー女だ!!!!


 すかさず俺はレジ台の下にあるボタンを押し満面の笑みを浮かべる。

『警察へ通報になりま〜す!! ありがとうございました〜!! またのご来店お待ちしておりま〜す!』



 サラサラとした綺麗な黒髪を左右に揺らしながら、少女は慌てふためく。

『ちょ、ちょっと待って智くん!!一度でいいからほっぺに…………。』


 ウゥゥゥゥゥ………………。

 隣の警察署からパトカーの音が鳴り響く……。


 コンビニのドアを開け真面目そうな警察官が入ってきた!!

『君!! 署の方まで来てもらえるかな!!』


 後ろ向きでレジ台にもたれながら、白い肌をした顔を引攣らせる。

『いや……その私はただ智くんにキスを……。』



 強引に彼女の手を持ち警察官が引き連れる。

『いいから早く来なさい!!』


 黒い瞳に涙を浮かべながら赤子のように叫ぶ。

『うえ〜ん!! 智く〜〜ん!!!! 絶対また来るね!!!!』


 警察官と彼女はコンビニの外へ出た。

 二度と来るな!! (ありがとうございました〜〜)


 警察官は彼女をパトカーに乗せ、発車させた。

 ウゥゥゥゥゥ………………。


 彼女の名前は西村環奈。俺が通っている縄文人高校の生徒会長を務めていてアニメの設定であるような皆んなが憧れる規律正しい女性って感じなんだが公園で雨宿りしている彼女を見つけ傘と缶コーヒーを渡したところ ストーカー化し今の現状までに至る。


 どこから情報入手したかは知らないが俺がコンビニで働いていることを聞きつけた彼女はここ毎日コンビニに押しかけては警察に連行される日々を過ごしている。だから、先程俺がボタンを押したら警察がすぐここへ駆けつけることができたのだ!! 俺も警察もいい迷惑だ!!!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(午後10:00が経過した)



 俺は業務を終え深夜帯の店員と代わり帰宅するのであったが、やはり!! 奴がいた!!


 コンビニを出て一番左にある車の物陰に人の気配を感じた。車主の可能性がないとは言い難いが奴の確率は大いに高い。その可能性を見越して俺は走った。すると、後方から俺を追う足音がした!!


 やっぱり奴だ!! 変態ストーカーだ!!


 俺はコンビニを出て真っ直ぐ進み車道沿いに出た。左車線沿いの歩道をひたすら真っ直ぐ走った。しかし、次第に足音が近づいてくる!!


 このままだと追いつかれる! どんだけ速いんだよ! クソがー!!!!


 俺もそれなりに走れる方だが中学時代、西村環奈は陸上記録会などで表彰される程の実力者らしい。その為、俺は油断せずに全力で走り続けたが、とうとう捕まってしまった!!


 暗闇の中で彼女のキラキラと輝く瞳が見える。

『智く〜〜ん!!!捕まえたーー!!』

 そう声がすると俺の腕辺りに2つの柔らかな感触を感じた。


 暗闇でよく見えないけど黒い瞳とこの高くて綺麗な声それにこの感触は奴だ!! 感触????


『変態ストーカー!! 胸当たってる!!!! 』


 すると、彼女は更に胸を押し付けてきた!!

『またそう言って逃げる気でしょ!!』


 な、な、な、何を考えてるんだ、このストーカーは! お、お、俺の動揺を誘っているのか!?!?


 冷静になるんだ俺!! これは奴の作戦だ!! このままの流れでキスに持っていかれ兼ねない!!


 俺が何故ここまでコイツのキスを拒むかというと学校での評判が悪くなるからだ! どう見ても俺のブサ面とコイツのキャワイイ顔じゃ釣り合わない!! もう一つの理由が単純に変態ストーカーでキモいからだ!!


 俺は胸の感触に半分喜び半分恐怖を感じながら話す。

『ところでストーカー。いつもなら警察に連れていかれて終わりなのに何で今日は俺を待っていたんだ!?!?』


 胸だけでなく グ!!っと身体まで付けてきた!

『今日は智くんの家に泊まろうと思ってね!!』


 待て待て待て待て!! それはまずい!! 親にバレて変な噂を流されたら元も子もない!! 更にアイツが俺の家に泊まったことを言いふらしたりしたら…………。


 焦りの形相を見せ俺は聞き返す。

『親御さんも心配するだろうし帰った方がいいんじゃ…………。』



 左腕を俺の左肩に掛け右手でグッジョブをする。

『大丈夫!! お母さんには友達の家に泊まるって言ってあるし荷物は朝に取りに行くから安心して、』.


 安心……出来るか!!!! しかも、親にまで嘘ついて来てるのかよ!! しかし困ったな、家に入れる訳にもいかないし、返すにも返せない。どうにかいい策はないか………………あ、そうだ!! 漫画やテレビがあるあそこなら!!!!


『俺の家もダメだからネットカフェに行かないか!』


 彼女が即答で返してきた。

『ダメだよ! 年齢的に返されるのがオチだよ!!』


 あ! そうかぁぁぁ!! しかし、家に入れる訳には……….。


 突然、後ろで聞き覚えのある声が聞こえた。

『おい!智!! 帰ってなかったのか??』


 そして、災厄のタイミングで親父がきたーー!! このままの流れだと 『おう!! 智。その子は誰なんだ??』『初めまして。私は西村環奈と言います。今日1日智くんの家にお泊りさせていただいても大丈夫ですか??』『勿論いいぞ!!あんたみたいな可愛い子は大歓迎だ!! 智、頑張れよ!! 』 ってなって奴の可愛さ圧力で押し負ける!!なんとかしなくては……。


 咄嗟に思いついた策が

『親父、俺たちそこら辺へ散歩してきていい??』

 だった……。


 親父が俺と環奈の背中を叩きながら笑顔で話す。

『が、は、は、は!! 昼間はまだしも今は夜だから危ない!! これから晩御飯なんだがその子も一緒にどうだ?? 』


 自分でフラグ回収してもうたーー!!!!クソッタレー!!!!仕方ないが流石にこれは諦めるしかない……。


『ありがとうございます。お言葉に甘えさせてもらいます。あ、自己紹介が遅れました! 私は西村環奈と言います。今日1日智くんの家にお泊りさせていただいても大丈夫ですか??』


『勿論いいぞ!! あんたみたいな可愛い子は大歓迎だ!! 智、頑張れよ!! 』


『あ、ああ……。』



 こうして俺は見事に地雷を踏み抜けたのだった……。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ご閲覧ありがとうございます^_^ ブクマや感想などよろしくお願いします。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る