ギブミー・ザ・キー
城野亜須香
A面
Track-01 : Monochrome 『モノローグ』
Monochrome 『モノローグ』①
* * * * *
「……ごめん。わたし……」
「ばかやろうっ!!!ビビるなっ!!!」
ステージの中心で俯く
「みんなお前の同類だ!!!みんなお前の友達だ!!!ビビってんじゃねえっ!!!それでもお前には絶対に敵わない!!!俺たちには絶対に敵わない!!!」
「……でも、だって!」
「『だって』じゃねえよ!!!だってそうだろっ!!?俺たちは無敵の『
「……
「失敗したって俺が守るっ!!!いいからさっさと音を取れっ!!!
そこまで叫んで、足早にステージ前方へと戻る
『 お待たせいたしましたーーーっ!!! 』
後輩たち3人に右手と表情で「オッケー」のサインを出して演奏を中断させると、相変わらず手拍子を続ける温かな観客にはさらなる熱量を要求する
『 それではひとつ「カウントダウン」など!!!お願いしてみようかなって思いますよ!!!さあ、10っ!!!9っ!!! 』
「さあさっ!はやく歌いましょっ!!
――8!!!7!!!
「えへへっ!早くしないと歌詞まで忘れちゃうよっ!!
――6!!!5!!!
「ワクワクしますね!
――4!!!3!!!
「……ありがと。」
「……そうだよね!ごめんっ!!ありがとう、千籠!!みんなっ!!!」
足元に投げ出された年季の入った薄金色の
――2!!!
割れんばかりの、3千人の手拍子と熱気を帯びたカウントの大合唱の中、
本来の開演時間にはまだ少し早いはずなのにこれは一体どうしたことかと、通路を歩いていた観客たちも慌てて自分の席へと急ぐが、とうとうそれらの着席を待たずして、楽しい楽しい『ポピュラー・コーラス』の時間はついに始まるようだった。
「「「「「 いちっ!!!!! 」」」」」
* * * * *
さて御立合い。ここで「カウントダウン」を幾らか巻き戻すことにしよう。
どれくらいかと言えば、ざっと2年くらいだろうか。
今やステージの上で奮闘していた
彼が初めて
――ギミダキ!(Give Me The Key)―― はじまり
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