クリスマスの夢

野口マッハ剛(ごう)

散文詩のように

 焦る。相手が中々見つからないから。どうした俺。毎日が仕事に追われては日々消耗。彼女? 最後に付き合ったのはいつだっけ? それも覚えていない。

 泣ける。そんな気がする。恋人は二次元の嫁。わかっている。こんな俺に本当の嫁なんかできないってことぐらい。

 俺は12月の頭にこう思う。あー、出会いがないかなって。タバコをふかす。街はクリスマスの訪れを感じさせる。


 クリスマスの夢。


 それすらどうでもいい。あー、出会いがないかな。道行くカップルを勝手に憎む俺。

 ほんのちょっとでいいんだ。誰か女性が俺に話しかけてくれないかなって。

 スマホが鳴る。

「もしもし? 俺だけど?」

「あー、先輩、課長が24日と25日は会社で缶詰めですって。私もです。もうこれって過労ですよね? という伝言です。失礼します」後輩の女の子はそう言って電話を切る。

 なんだよ、ちくしょう。

 俺は電車で帰る。目の前に座っていた女性に見とれる。長い黒髪のギャル、いいよな。

 俺と目が合う。少し時間が止まった。あー、出会いってねえよな。目の前にタイプがいるのに。


 クリスマスの夢


 俺は24日から25日の缶詰めを終えた。後輩から昼飲みしましょうって誘われた。別にいいけど。後輩は徹夜のせいかスキップをしている。26日だよな、今日って。

「先輩、メリークリスマス♪」そう言う後輩の笑顔が眩しく見えた。

「メリークリスマス」俺もそう答えてちょっと嬉しくなった。

 たまには、こういうのもありだよな。クリスマスの夢、俺は後輩と二人で打ち上げ、ビールをしこたま飲んでトイレで吐いた。なんだよ、嬉しいんだよ。


 みんなは、どんなクリスマスだったかな?

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クリスマスの夢 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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