愛の魔法を、あなたにぶっかけたい
美シ
プロローグ
あなたは私に向かって言ったの、
「愚鈍で愚かなメス豚め」
されどあなたのとった行動は間逆の営為だった。
私に向けられる数本の敵意の杖に向かい、貴方は臆する事なく私の前に立ちはだかり……いいえ、ただ当たり前のように立ち、彼らに杖を向け悪意ある魔法を蹴散らしていった。
「あ……ありがとう……」
幾度お礼を言っても、あなたは私の方を振り返ることもなく、それがただ当たり前のように立ち去って行った。
美しい、ただそれだけの理不尽な理由で虐められていた私を、あなたは何度も助けてくれた、なんて素敵、素敵、素敵なの、優しい、かっこいい、愛おしい!!
魔法学校『グロゥリィワンズ』
に、入学して二年目のことだった。まだ九歳だった頃から、九年生になった十七歳の今まで、私の初恋は色焦ることなく、この胸の中を熱く滾っているのよ!!
風の噂で、長い髪が好きって聞いたからお尻まで伸ばしたの。
メガネちゃんが好きって聞いたから悪くもないのに眼鏡をかけたの。
巨乳好きって聞いたから、毎日頑張って嫌いな牛乳を飲んでいるのよ。
あなたが好きな食べ物は嫌いでも食べるし、あなたが嫌いなものは私が抹殺してあげるわ!!
けれど……一つだけどうしても、どうしてもたった一つだけ、出来ない事があるの……。
それは……。
あなたに対する意地悪を、止められないの……。
自分でもどうしてなのか、本当にわからない、理解不能。
何故なのか、誰か教えてください。
嫌われたくなんか、ないのに……。
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