ある大事故により廃園となってしまった遊園地を舞台に繰り広げられる、四人の少年の物語です。
あらすじにあるようにアトラクションによって視点人物が変わるのですが、そのひとりひとりに謎の背景があり、それに伴い遊園地が廃園となった経緯も明かされ、さらに少年たちの人物像と『廃遊園地』の全貌までも浮かび上がってきます。
ジャンルとしてはホラーですが、力技で怖がらせるような類でなく。もの悲しさや優しさや郷愁の中にちらりちらりと潜む謎が、不穏な影を想像させるのです。気づけば不思議な遊園地の中に入り込んでいて、少年たちと同じようにリアルな過去を再現しているような。そして一緒に不安を煽られるような。
だから「次はどうなるの!?」と気になって仕方ありません。「そう来たか……!」とびっくり箱のように驚かされたり、作品自体がアトラクションのよう。これって極上の読書体験です!
絵本のようなあどけなさと、緻密な伏線と、人物描写の繊細さと残酷さと愛しさ。ホラーというくくりで食わず嫌いをするには、あまりに惜しい作品。ぜひぜひ、読んでみていただきたいです! 心からオススメいたします!
――さて、貴方がウサミーくんから渡されるのは、どのアトラクションのチケットかな――?