第4話 おふりょ


 んっ、んっ!

 さわっちゃ、んっ!

 くすぐったいよぉ~にぃ~にぃ。


 僕は暗闇にいた。


 吸い込む空気が生暖かくて、石鹸のにおいがする。

 メルたんのかわいい吐息も聞こえる。

 指先から伝わってくるメルの素肌は、暖かくて、やらかくて、シルクみたいにつるつるだった。


「洗えたかな?」

 そう思って、目隠しを少しだけずらす。すると、メルのちっちゃくて、まっしろな背中があった。やっべえ尊い。

 僕は平静を装って、流すよ~とメルの背中にお湯をかけた。





 なぜこんなことになったのか。





 メルの着替えを脱衣所に持っていくと、裸のメル神が僕に抱きついた。どうやら体が洗えないと訴えたいようだ。さすがに裸を見るのはまずい、と目隠しをしてメルたんをごしごししてあげたのである。



「めるね、おおきくなったらにぃにとけっこんする」

「そだね~」

「おおきくなっても、いっしょにおふりょはいりたい」

「そだね~」

「めるがあらってあげるんだ~」

「ありがとう」

「にぃに、だいしゅき」


 涙が出そうになった。

 海馬をだいしゅきで満たしたい……。

 もうこれ以上の記憶なんていらない。




 じゃあ、お兄ちゃんは上がるよ、そう言ってお風呂から出るとき、裸のメルが黙って抱きついてきて、思わず尻もちをつく。パジャマが水滴に濡れ、パンツまでぐっちゃぐちゃだ。

 僕の胸に顔をうずめるメルは、「ひとりはいやぁよ」と少し枯れた声で言った。



「…………」



 そうだな。

 これはなんて。

 うーん。

 ああ、そっか。





「かわい―――――(*´▽`*)――――い!」

 叫んだよね。だってかわいいもん。

 叫ぶでしょ。だってかわいいもん。






 思わず抱きしめそうになる。

 しかし、メルの体が光りだして、ぐんぐん大きくなってきた。

 一五分夢から覚める時間がやってきたのだ。




 僕はさすがに大人メルの裸は気まずいと、僕はそそくさと退散した。

 まったく、幼女は最高だぜッ!

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