JKだけど学園生活が上手くいかない件
@mechashiko
第1話 普通のJKだけど入学式に出ない
朝。
母の声で目が覚める。
「深月!いい加減起きないと授業遅刻するよ!」
母が大きな声でドア越しに怒鳴っているのが聞こえる。
大きな声で眠りから覚めつつあるが、どこか違和感を覚える。
─あれ、いや今日から入学式でしょう?
─入学式に遅れるならわかるけど何で授業に遅れるのさ。
寝ぼけ眼でドア越しの母親に反論する。
「お母さん、今日は入学式だよ?授業はまだ今日からは始まらないよ。」
そう言うと、バンと強く扉が開いて母親が現れた。
母は39歳とまだ若く、私から見ても綺麗な顔立ちをしており非常に羨ましい。
お世辞かわからないけど、見た目が落ち着いてる私と歩くと姉妹に間違えられることもしょっちゅうだ。
母曰く、泣きぼくろがチャームポイントらしい。
─いや、興味ないけども。
そんな綺麗な母がどう見ても呆れ顔で口を開く。
「あのねぇ、入学式は一昨日。で、昨日がなんか知らないけどオリエンテーションってやつ。
いつ気付くかと思ってたけど黙ってたけどいつまで経っても気付かないもん。
ちゃんと授業出ないとボイラー技士2級取れないよ!」
言ってることがもう何一つわからない。
「え、待って、入学式って一昨日?昨日とか私何してたっけ?ねぇ、何で言ってくんないの!?しかも普通科の入学したての女子がボイラー技士2級取るか!」
ツッコミはしたものの混乱するばかりで、一昨日、昨日と何をやったか必死に思い返す。
母がまたも呆れ顔で、
「普通に朝起きてモーニングショー見ながら、○川うぜえって言ってたでしょうに。
で、お昼からもダラダラして夜まで殺し合いのゲームやって、普通に寝てたじゃないの。」と話す。
─いや、何でそれで教えてくれないの・・・
─そりゃ気付かない私も悪いけど言ってくれても良いでしょ。
─そりゃ○川はうざいけども。
「え、じゃあもう皆自己紹介とか全部終わっちゃったり?」
母親に聞いても仕方ないのはわかるが、どうしても聞いてしまう。
「知らないわよ。まぁでも普通2日も経てば終わってるでしょう。」
─何というか、こうも無責任に言ってくる母親に無性に腹が立ってきた。
「もう!どうすんのよ!いきなり学校サボるなんて不良か登校拒否の人みたいじゃない!完全に最初から学校で浮くわ!」
どうしようもない怒りを母にぶちまける。
「知らないわよ!こんな不良娘に育ってお父さんも草葉の陰で泣いてるわよ!」
逆ギレをしてきた。
「お父さん死んでないから!メキシコに赴任してるだけだから!勝手に殺すな!」
─はー、もういいや。これ以上突っ込んでも仕方ない。もう朝から疲れてしまった。
─とりあえずシャワーを浴びて制服を着ようかな。
そう考え、1階に降り脱衣所に向かい、パジャマを脱ぎシャワーを浴びて冷静になる。
そしてシャワーを浴びながら物思いにふける。
─というかお母さんのせいで今日も完全に遅刻だよ。
─なんかもう今日も学校行く気失せてきたな・・・
これが負のスパイラルってやつなのかな、などと頭に熱水を浴びながら考える。
憂鬱な気分でシャワーを浴び終えて体を拭いた後、制服に袖を通す。
─あぁ、もう皆仲良くなっちゃってて輪に入り辛いんだろうな・・・
などとネガティブなことを考えていると遠くからテレビの音がする。
リビングダイニングの扉を開けると母がダイニングで朝ご飯を食べながらモーニングショーを見ている。
「私にも朝ごはんちょうだいよ。もう今日どうせ遅刻だもん。」
そう投げかけると、椅子から立ち上がり、キッチンに向かいながら
「あのねぇ、本当にそんなサボってると乙4取れないからね?」
と言ってくる。
「だから普通科の女子高生が危険物取扱者の資格も取んないから!そんなガテン系じゃないから!つうか何でそもそも私も乙4って言われてわかるんだ。」
ツッコミつつ私も腰を下ろすと母が朝ごはんを持ってきてくれた。
白ごはんと味噌汁に目玉焼きと鮭の塩焼きだ。
名古屋出身の両親だから味噌汁はいつも赤味噌が出てくる。
─よくわからないことばかり言う母親だが、ご飯はしっかり作ってくれるのがありがたい。
「制服似合うわね、さすが現役JK!青春真っ盛りねー、お母さんも若いころ思い出すわ!」
ご飯を食べていると母が上機嫌で言ってくる。
「いや、青春真っ盛りの女子高生は入学式早々学校サボらないから!」
どうしても今日はショックで冷静でいられない。
母親にツッコミを華麗にスルーされ味噌汁をすすりながらテレビに耳を傾けると、相変わらず○川がワーワーと言っている。
テレビを見ていると、
─あー、何か今日学校良いや・・・
という気にどうもなってきてしまった。
─明日から行こう。今日はやめだ。
─明日から本気出そう。
そう誓い、今日のところはバトルフィー○ドに繰り出した。
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