Dreamer

夢

　Dreamer、それは夢を見る者、夢を追う者、そして夢を捨てた者。

　私たちはみんなDreamerだ。夢を見て、追って、捨てたDreamerだ。そんな数あるうちの一人のDreamerの話をしようか。

　そのDreamerは最初は何も知らずに無邪気だった。世界は夢と希望で溢れている。希望があれば、夢があれば、全ては乗り越えられる、例え試練があったとしても。そんな現実を見ていた。

　正確に言うと見せられていた。大人たちによって、Dreamerによって。

　そんなことにも気づかずDreamerは成長した。

　Dreamerはそのうち夢を追うようになった。そのDreamerは一つ口癖がある。

「私ね、夢があるんだ！」

　その一言を発しながら頑張っていた。つらいときであっても、頑張れない時でも、頑張ってた。

　だが、そんなDreamerも夢を捨てる時がくる。

　何がきっかけだったか、もう分からない。ただ、夢によって辛さだけを背負ったことだけは確かだった。それはきっと他のDreamerによって負わされ、捨てさせられたのだろう。

　もう、お気づきかも知れないがそのDreamerは私なのだ。

　夢を見て、追って、捨てて、それにいつまでも嘆いている私だ。

　そんな私のいる世界にはDreamerになっていない無垢な子たちがまだいる。

　ひねくれたDreamerはその無垢さを羨み、薄汚れたDreamerをまた生み出す。

　そうやって世界はDreamerで溢れていく。