第16話
私とて、エロサイトやらAVやらは鑑賞いたします。なので、女体といって千差万別なのは心得ておりますから、はて、この奥方は豊満なご様子だが、手足もむっしりと肉付きが良いのかな、と……チラチラ視線を使っていましたもので、横に居た妻に腕をつねられてしまいました。
私と妻と、お互いまだ憎いわけでもありませんから、お相手のご夫婦を試すすがめつするその感覚の奇妙なことときたら……。
期待があるのですよ、その期待はまた後ろ暗いものではないですか、同じものを妻も抱いているかと思うと悔しいやら腹立たしいやら……妻の手をむんずと掴んで席を蹴ってしまいたい衝動に襲われながら、片方では舌なめずりで、妻も同じく濡れておるのかなどと思いながら、相手のご婦人を品定めなどしているのです。
下品で、背徳的で、なのに一周回ってとんでもなくチャレンジャーな気にもなってまいります。いいえ、それ以前に、これは確かに救いなのだと得心いたします。あの情けなくて死んでしまいたくなった連夜の屈辱を忘れるほどにのめり込んでいきました。
胸が躍っているのです。とてつもないイタズラを仕掛ける、その計画を立てているような……これは学生時分以来でしょう、反抗心の満足といいますか、とても崇高な戦いに挑んだつもりになっていた日々を思い出す、などというのは少し言い過ぎでしょうかね。気が大きくなるだとか、そんな具合です。
色々が麻痺してしまうのか、道徳だの世間体だのがどうでもよい下等なものと断じてしまえるようになるのです。この頃になるともう、親の顔がちらついても、申し訳ないと思う気持ちも失せてしまっていました……。
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