第10話
それから、ご存じでしょうか、私は妻が告白するまでまったく気付きもしなかったのですがね、女はほとんどが男の前では演技をしているのだそうです。あんなに愛液が溢れていても、それはただ母体を傷つけないために自動で出てくるものなのだとか。まさかと訝りまして、むしろ良くはないからこそ保護の為にも多く分泌するものなのかと、恐る恐るに私が申しましたら、妻は黙ぁって、微笑んでおりました……。
がっくりときたものです、その時ばかりは。今ちょうど役立たずとなり己の無価値に打ちのめされていましたところへの追い打ちです。実は、最初から妻にとっては役立たずであったのか、と知らされてしまったわけですから。
妻は慰めてくれるのです。女のほとんどは演技しているだけで、本当はつまらないと思っているのだと。あんまりつまらないから、寝ている時は余所の男を想像してみたり、羊を数えていたりするのですと。そうそう、妻が恥じらいながら教えてくれたお気に入りの設定は、触手だそうです……。私はその時、私ではなく、なにやら得体の知れない謎の触手なのだそうです。ははは。
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