第4話

 いったいこの私のどこが気に入ったというのか、告白やら何やらの手間もすっ飛ばしていつの間にやら自然と付き合いが始まっていたのですから、人生とは不思議なものです。そうこうしている間にあれよあれよと月日は流れ去り、気付けば二人は結婚するという段取りが整っていたのです。


 結婚も、なんの障害なくとんとん拍子に進みました。けれど、どこでケチが付いたものでしょう、幸せだったのは束の間でいつしか二人の間には常に隙間風が吹いているような状態となりました。


 妻はめっきり口数が少なくなりました。私もほとんど喋らなくなりました。たまにどちらかが口を開けば、嫌味が聞こえるか、何かの愚痴を吐き出すかです。近頃はついに、さめざめと泣き出すようにすらなりました。

 なぜこんなことになったのか、お互いに気持ちが冷めたわけではなかったものですから、辛くて堪らなかったものです。

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