夢の中で・・・

勝利だギューちゃん

第1話

「こんばんは、直樹くん」

「えっ、真耶さん?どうして・・・」

僕は、あぜんとした。


クラスメイトの、卯月真耶さん。

どうして、彼女が目の前にいるんだ。


「確か僕は、部屋で寝ていたはずじゃ」

「そうだよ」

「なら、どうして真耶さんが、ここに?」

「ここは君の夢の中だよ」

「僕の夢」

「うん」

ますますわからなくなった。


「簡単にいうとね。私は他人の夢の中に入る事が出来るの?」

「そういうアニメがあったよね」

「うん。でもこれは現実だよ」

「現実?」

「うん、どうやって?」

「それは秘密」

秘密と言われると気になる。


「でも、私は幽霊ではないわ。意識だけでもない。

私自信が、君の夢の中にいるの。」

「君自身?」

「うん、君の知っている卯月真耶自身が、今ここにいるの。君の眼の前に」

「でも、それが本当だとして、どうして現れたの?」

「理由は簡単だよ」

「何?」

次の真耶さんの言葉には、耳を疑った。


「君を夢の中に閉じ込めるためよ」

「えっ」

「私には、人の夢に入りこめる力と、もうひとつの力があるの」

「もうひとつの力?」

「そう、未来が読めるの。予知能力ね」

「それと、僕を夢に閉じ込めるのとどういう関係が?」

しばらくの間があった。


「もうじき、核戦争が起きるわ。そして、人は戦争に狩りいたてられる。

男女問わずね」

「男女問わず?」

「うん。もう女だからとか、病弱だからとかで、免除される戦争ではないの」

「えっ」

「でも、一週間で終わるわ。多くの犠牲者を出してね。人類は半分になるわ」

「半分に?」

完全に滅亡しないのか・・・

余計に苦しい気がするが・・・


「直樹くんは、病弱だよね?」

「うん」

「でも、さっきも言ったように、病弱だからって免除はされないの」

「ならどうすれば?」

「答えはひとつ。仮死状態になるの」

「でも、そうなれば火葬されるのでは?」

「それは大丈夫。故人をとむらっている時間は、全くないの」

「全くない?」

「私は死にたくない。君も死なせない。だから夢の中に閉じ込める」

「その間、どうするの?」

「もちろん君の自由。でも、目を覚ますという選択肢はないわ」

こうして、僕は眠りについた。

夢の中には、真耶さんがいた。


そして、真耶さんの言うとおりに核戦争が起き、多くの犠牲者を出した。

僕は、一週間仮死状態になった。


そして、一週間後に目が覚めた。

同時に、戦争は終わった。


多くの犠牲者を出して・・・


目が覚めると、そこには真耶さんがいた。

「直樹くん、おはよう」

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夢の中で・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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