19
泣く子も黙る いいだ部長
タクシーをはじめ、ここまでやってきたのは、この名物のいいだ部長のおかげだと思える。月一回の明け番会にて、古い、新しい、いろんな運転手、車両70×3=220人のドライバーを前にいつも檄を飛ばしていた。
まじめな話何だけど、おもしろく、やさしく、きびしく話をしてくれた。
人は、自分の家に帰れない人はいません。お客様に教わりながらでも、一生懸命仕事をしなさい。道が分からないとお客様に馬鹿にされてくやしかったら必死に道を覚えなさい。
皆さんの車は、三鷹の、多摩ナンバーの車です。
錦糸町、足立に行ってお客様を乗せてタマの車でわからないといえばお客は鼻を高くして、教えてくれます。そういう気持ちでどこでもいきなさい。
将来、個人タクシーになったとき、道が分からないと、恥ずかしいですよと檄を飛ばしてくれた。
うちはダブルA(AA)だから、監査は入りません。
いくらでも早く出なさい。(この会社、みんな早く出る人たちばかりだった、朝3時4時に出る人もいた)
帰りはいくらでも遅くまでやってきなさい。
紙切れ1枚書けばいいだけのことです。(遅延)
管理はく(みんな元KM)は、タコメーターで、ひる、ゆう、しんやまえ、1日3回(1時間づつ)休むと、なんでこんなにかけているんだ、もっと、きれいにヒマワリを咲かせなさい、休むときは駅につけて休みなさいと言われた。
休まず仕事をすると、きれいなヒマワリをさかせたねとほめられた。
今になって思うと、いいだ部長は、ヒマワリにかんしてはきびしくなく、休憩で怒られたことはなかった。
事故後係のきくちさんが、ヒマワリにかんしては、うるさかったように思える。関西なまりのうめい課長は、都心にいきなさいと、こだわって言われた。くやしくてぼくはいつも負けずに都心へ向かっていった。全部新宿とか、全部品川とかを何十回もやるとほめてくれた。いいね、品川、高輪はいいんだよとほめらられた でも品川~高輪、ワンメーターを何十回もやっていて、本当にこれでほめられていいのかなと思えた。
ときたま、荻窪だけでしかやらないと あれ?いつから荻窪の主になったのと、いやみをいわれて、また品川へ向かってぼくはやっていた。
西川口のニューヨークまで行ってください。
朝、8時ぐらい、かぶきのふうりん会館そばで、できあがった女性の若いネエーチャンをのせた。西川口のニューヨークと言われた。
運「西川口はわかりますが、西川口のニューヨークは
駅に向かっていけばよろしいですか?」
女「はい、西川口STに向かってください」
運「西川口STつきましたが、ニューヨークはどちらですか?」
女「そこまっすぐ、まがって、止まって」
運「あ、あった、ニューヨークだ」
ソープランドだった。
※まさか西川口にニューヨークがあるとは思わなかった。
こんなにできあがって仕事ができるのかな?
と思った。
妻「てきとうに休んでから、やるんだよ」
「私もそんなことあったよ!」と教えてくれた。
女はすごい。強いなと思えた。
新大久保の女性のお客様のストーカー
新大久保からおばちゃんを乗せた。
「東中野までおねがいします」
「ではまっすぐ行って、山手の手前で右に向かっていけばよろしいですか?」
しばらくすると、一台の自転車のおじさんが
「まてコラー タクシー」と叫び走ってくる
「でもおれの車ではないよな」と思った。
と、おじさんは自転車を車の前に放り投げ、ボンネットの上に座ってしまった。
お客様に、ドアロックします。信号(AVMたたき無線)を出します。無線でおまわりを呼ぶことを伝えた。
しばらくすると偶然通りがかりの巡回のおまわりのパトカーがくると!
突然、「おまわり呼びやがったな!」とすてぜりふをはき、逃げて行ってしまった。
再び、ご案内をはじめると
「あれ、わかれた、だんな。今はストーカーなの」とつぶやいた。
ときにはほんとうのおばけもひろうことがある?
夕方、病院(慶応)の裏手で一人の女性を乗せた。
行き先確認、場所などやりとりして教わり、進行した。夏の終わり、少し涼しくなってきた頃の夕方、でも、きょうは、暑い。そのお客様の声は生きている人の声には聞こえなかった。少し、変な感じであった。背中が急に寒く、涼しかった。
目的地でおろしたが、その後、その分だけ、お金が合わない。足りなかった。
その数日後、その下ろした家でお葬式をしていた。
そのとき、そういうことだったんだと思った。
青梅街道の女性
青梅街道、中の警察の手前に一人の女性が立っていた。
しかし、どのタクシーも、女めがけてむかっていくが、突然お客様のそばに行くと、突然2車両目に、みんなどのタクシーもよけていく。どうしてだろう?
そしてぼくは4台目のタクシー その女性の前に止まって、ドアを開けた。
おかまさんだった。でも、きれいなおかまさんで、女性より、それ以上の美人の人だった。
行き先は、2丁目。
ぼくは、偏見なく、お客を乗せたい。
男もおしゃれが必要で、手入れが必要で、女以上に、いつもつやのある男を作るのは必要かもと思えた。
とてもすてきな、おかまの女装だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます