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次の日、雪の降りやんだクリスマスの日。
椛からお礼の電話があった。
柏木くんと仲直りができたのだと言う。椛は本当に嬉しそうだった。
だから早月は「おめでとう」と椛に言った。
「ありがとう」
椛は言う。
椛は結局、このまま柏木歩と恋愛をして、そのまま大人になって歩と結婚をした。
結婚式には生徒会メンバーの全員の出席があった。
純白のウェディングドレスを着た椛は本当に綺麗だった。
早月は椛に陸のことを知っておいて欲しかった。
「……実はさ、椛に話しておきたいことがあるんだ」と言って、早月は椛に陸のことを話すことにした。
すると話を聞き終わった椛は「早月、ごめんなさい!」と言っていきなり早月に謝ってきた。
「別に謝らなくていいよ。私が勝手に黙ってたんだしさ」
と早月は言った。
「でも、私のこと、本当は嫌いになったりしてない? 嫌な女だなって、思ってない?」
椛は言った。
「そんなことないよ」早月は言った。
「だって、私、椛のこと大好きだもん」
早月は電話越しに、そう自分の素直な気持ちを親友の椛に伝えた。
すると、少し照れながら、「……ありがとう。早月」と椛が言った。
それから、少しだけ二人は沈黙した。
「椛」
早月は言う。
「なに?」
椛が答える。
早月は深呼吸する。
早月はあの日の陸の笑顔を思い浮かべる。
……それから、すごくたくさんの、すごくいろんなことを振り切ったような、そんなすっきりとした表情をして、「メリークリスマス」とにっこりと笑って、深田早月は山里椛にそう言った。
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