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あのときから明里はあの人のことを忘れたことは一日たりともなかった。
明里は名前も知らない、ただ道ですれ違っただけのあの人に今も、……ずっと恋をしていた。
あれから数ヶ月が経って、明里は随分と変わった。
あの人も、きっと随分と変わっているはずだと思う。
でも、明里には確信があった。
もし偶然、もう一度、あの人とこの街のどこかですれ違うようなことがあれば、私には絶対にあの人だということがわかる。
その自信が明里にはあった。
十字架の形をした横断歩道を歩き終えた明里は、そのまま実家の方向には向かわずに違う方向に足を向けた。
そのまま、明里が向かったのは少しだけ遠いところにある住宅街の中にある公園だった。
その公園の名前は愛川公園と言った。
愛川公園の中には小さな池とそこにかかる一つの古風な造りの橋があった。
その橋の名前は天橋と言った。
天橋は略称であり、この橋の本当の名前は『天の架け橋』と言った。
天の架け橋は、出会いの橋であり、そこからこの橋には恋人同士でくると願いが叶うと言う噂話が生まれたのだった。
明里はその話を前生徒会長から聞いて知っていた。
実際に明里は何度か一人で、愛川公園まで行ったこともあった。
明里は愛川公園にたどり着くと、そのまま公園の中を歩いて天橋のところまで行った。
有名な橋だから恋人たちが何組かいるのかと思ったのだけど、そこには恋人同士できている人の姿はなかった。
ただ、橋の上には一人の男子高校生がいた。
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